10月4日に第3回Academic Half Dayが開催されました。海外での研修経験のある有名な3人の先生方をお迎えし、全国各地から医学生から専攻医までの沢山の方にご参加いただきました。

筒泉先生「ホスピタリストとは何者か~入院診療という専門領域~」
今回の講演を通して、日本ではまだあまり馴染みのない病棟診療医(ホスピタリスト)という役割について学びました。病棟診療医は、入院の契機となった疾患のみならず、併存疾患、ADL、栄養、社会的背景、退院後の生活までを含めて患者さんを捉え、包括的に診療する入院診療に特化した医師です。
これまで、上級医の先生方が外来・入院診療を幅広く担当され、高齢化が進む中で、複数の併存疾患を抱える高齢患者さんに対して専門領域を越えて診療されている姿を拝見し、その負担の大きさを感じていました。今回、病棟診療医という役割を知り、今後の日本の医療において欠かせない存在になっていくのではないかと感じました。
また、入院診療では、入院中の疾患を治療するだけでなく、せん妄や血栓塞栓症など、入院に伴う有害事象に対してあらかじめ対策を講じること、入院時から退院後を見据えて計画を立てること、I-PASSを用いた申し送りなど、個々の医師の経験や注意力だけに頼るのではなく、仕組みとして医療の質を高めていくという考え方も大変勉強になりました。
今回の講演を通じて、病棟診療医が自身の将来の選択肢の一つとなっただけでなく、入院診療において必要な視点や考え方を学ぶことができました。また、「決めたことは実行する」という筒泉先生のPassionにも強く刺激を受けました。まだ日本では発展途上にある病棟診療という領域を自ら切り拓き、日本の医療をより良いものにしていこうとする姿勢に触れ、大きな刺激を受けた講演でした。

関口先生「高齢者外来診療でマルチプロブレムをどう扱うか」
80歳男性の「やる気がなくなった」という主訴から始まる症例を通して、高齢者外来におけるマルチプロブレムへのアプローチについて学びました。
特に印象に残ったのは、高齢者では「元気がない」「食欲がない」「歩けない」などの主訴が、必ずしもそのまま主要なプロブレムを示しているとは限らないという点です。フレイルでは予備力や回復力が低下しているため、小さな医学的ストレスを契機に、身体面だけでなく社会・心理面などの「最も弱い部分」が症状として表面化することがあります。
そのため、主訴をそのまま診断の軸とするのではなく、複数のプロブレムの中から、より医学的な説明力の高い問題を見つけ、プロブレムのyieldを高めていくことが重要だと学びました。さらに、患者さんから得られた情報をsemantic qualifier(SQ)を用いて、時間経過や症状の性質などを含む普遍的な医学用語へ変換することで、鑑別診断につながる、より適切なプロブレムへ更新できることも印象に残りました。 また、診療を進める中で主訴やメインプロブレム自体が変化することを前提に、行き詰まった際にはHistoryやProblem Listに立ち返る姿勢も重要だと感じました。今後の外来診療において、患者さんの訴えをそのまま受け取るだけではなく、その背景にあるより本質的な問題を捉えることを意識していきたいと思います。

片山先生「臨床推論ワークショップ」
4月以来となる片山先生のレクチャーを受講し、今回も改めて「1行サマリー」の重要性を実感しました。今回は、頭痛を主訴に受診した3症例を題材に、1行サマリーの作成を実践的に学びました。
AIによる情報検索が容易になった現在でも、どの情報を拾い、どのキーワードで検索するかによって、たどり着く診断は変わります。そのため、Onsetを含め、病歴・身体所見・画像所見から診断に重要な情報を抽出し、適切な医学用語へ変換する力が臨床医には必要だと学びました。また、そもそもの知識がなければ重要な所見に気づくこともできません。例えば、画像上明らかな異常を認めない頭痛でも、髄液検査で「キサントクロミー」がみられることを知っていなければ、診断に至ることはできません。AIを活用する上でも、基礎的な診察力や知識を磨くことが重要だと感じました。
また、SAHを疑う際の考え方やCTのチェックポイント、時間経過による画像変化、髄液所見についても学びました。日常診療で遭遇する機会の多い頭痛を診療する際に、学びを活かしていきたいと思います。
今回の講義を通して、AIを使いこなすためにも、まずは自分自身の「診る力・考える力・知識」を磨くことが重要だと改めて感じました。

貴重な講義をありがとうございました。
