2月7日に第2回 Academic Half Dayが開催されました。豪華な3人の先生をお迎えし、全国各地から医学生から専攻医までの沢山の方にご参加いただきました。

筒泉先生「ケースで磨く内科力―臨床推論―」
本レクチャーは、70歳男性の意識障害症例を題材に、段階的に臨床情報が提示され、グループで鑑別診断を話し合う形式で進められました。鑑別が広がる中で「次に何をするか」を考える難しさと面白さを実感しました。特に、当院感染症内科専攻医の先生が早い段階で生活歴に関するキークエスチョンを挙げていたことが印象的でした。複数の思考の枠組みや幅広い視点を持つことで鑑別を広げ、適切な問いを立てられるのだと実感できた瞬間でした。また、診断閾値と治療閾値の考え方について、筒泉先生の関西人らしいミルクボーイの漫才を例にした説明がとても分かりやすく、所見の重みづけを意識して判断することの大切さを理解することができました。実臨床では情報が整理されて提示されるわけではなく、患者さんの語りの中にはノイズが含まれていたり、鍵となる情報を意図的に、あるいは無意識に話されないこともあります。患者さんをリスペクトしながら鑑別診断を意識して病歴を聴くことの大切さ、また得られた情報を整理しながら臨床判断につなげていく姿勢について、このレクチャーを通して学ぶことができました。

関口先生「認知症の解像度をあげる!~3つのカンドコロ~」
本レクチャーでは、認知症をどのように整理して考えるかについて学びました。まず、認知症は認知機能障害と生活機能の低下が合わさった状態であるという定義から確認し、診断の前提を丁寧に押さえることの大切さを感じました。認知症を疑うエピソードは多様ですが、semantic qualifier を用いて医学的な症状に言い換えることで情報を共有しやすくなることを学びました。また、中核症状と周辺症状に分けて整理することで、進行度の評価や介入できる点が見えやすくなると感じました。さらに、①頻度の高いアルツハイマー型認知症をしっかり理解することが他の病型の理解にもつながること、②認知症の鑑別には多くの器質的疾患が含まれること、③鑑別には経過観察が重要であり初診時の診断に慢心せず時間経過で評価する必要があること、という3つの「カンドコロ」について、グループ討議や先生の経験談を通して学ぶことができ、奥深さを実感できました。

片山先生「AHDワークショップ」
先生はこれまでにも何度か当院でご講義くださっており、毎回「一文サマリー」の大切を強調されています。すなわち、患者さんを一文でプレゼンする際に、どのような semantic qualifier を用いて、どの情報を盛り込むかによって想起される鑑別が大きく変わるということです。講義では、現病歴や既往歴、身体所見、検査結果が順に提示され、グループでプロブレムを整理しながら一文サマリーを作成しました。先生が提示される症例は毎回一筋縄ではいかないものが多く、何度か経験していても「完璧な一文サマリーができた」と感じられることはありません。上級医の先生が作成された一文サマリーを聞くとやはり洗練されていて、情報の取捨選択や表現の仕方によって思考の整理のされ方が変わること、診断力とプレゼンテーション力が密接に関わっていることを実感しました。症例の最終診断は銅欠乏による貧血という稀なものでしたが、片山先生は重要なのは珍しい疾患を思いつくことではなく、病態を順に整理しながら鑑別を絞っていく思考過程であると強調されました。臨床経験豊富な先生の直感的な診断の背後には、積み重ねられた分析的思考があることを意識し、日々の症例でも丁寧に考える姿勢を大切にしたいと感じました。

半日を通して活発な議論が交わされ、臆することなく発言する学生さんや研修医の先生方の姿、そして的確なコメントをされる専攻医の先生方の姿に大きな刺激を受けました。狩野先生をはじめ、ハワイで研修された先生方の熱意を随所に感じることができました。貴重な学びの機会をいただき、誠にありがとうございました。
