吉田 昌弘
平成11年4月、当院に着任以来15年が経過しました。着任当初はスタッフも少なく、ただひたすら診療をこなす日々が続いていました。24時間の当直明けに通常業務を行う日々、また何日も連続して病院に泊まった日々が懐かしく思い出されます。しかし、臨床研修医制度の開始に伴い、後期研修医がスタッフとして加わってくれるようになりました。仕事も徐々に整備され、スタッフや初期研修医、また看護師の教育もしっかり行えるようになってきました。カンファレンスや学会発表なども充実してきました。
今年度(平成26年4月)からは、救急科を標榜し、専従スタッフは7名となります。皆若く、忙しいながらも情熱をもって診療(救急医療・集中治療)に当たっています。また、ハード面においても、救命救急センター外来(ER)の新築、救命救急センター病棟の増改築(ECU・CCU 8床、ICU 12床)と新しい体制が完成します。まさに、当センターは新しい門出を迎えようとしています。この4月より救命救急センター長兼救急科診療部長を拝命いたしました。このタイミングでの就任は試練でもありますが、前センター長からのいい意味でのプレゼントと捉え尽力していく所存です。
高岡医療圏はMC協議会の充実や地形の良好さもあり、救急要請から現場到着までの時間および病院収容までの時間は全国1~2位を誇ります。また、県西部消防指令センターの設立により、他の医療圏を含め、現場直近の救急車が出動できる体制が確立しました。これにより、さらなる搬送時間の短縮が期待されます。その反面、救急隊との連携による現場出動は行ってはいるもののまだまだ十分とは言えない状況です。今後、このシステムの強化あるいはドクターカーの導入を行い、病院前医療をさらに強化していきたいと考えています。また、富山県もようやくドクターヘリ導入に動き出しました。このような情勢の中、救命救急センターとしての重大な使命を果たしていきたいと思います。
座右の銘として「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」との格言があります。何といっても人材の育成なくして組織の発展はありえないと考えています。一昨年、東京の救命救急センターに内地留学していたスタッフが、再び当センターに戻ってきてくれました。現在、もう一名が高度救命救急センターに出向しております。当院でまた一緒に働ける日が来ることを期待しております。彼らが他院で学んできた新しい風を当センターに吹き込んでくれています。また、院内のさまざまな部署の協力を得て他科研修も行っています。このように今いるスタッフを育みながら、また、情熱を持った新しい初期研修医をさらにスタッフに迎え、現在まだ到達していない新しい目標に邁進していきたいと考えています。
平成26年 4月