我々は人格の陶冶に努め、社会正義を重んじ、より良い医療を追及する組織を目指し、病院医療を通じて、日本が生きがいのある健全な社会になるよう病院人として実行すべき規範を定める。
予定する検査や治療については、患者さんの理解力に応じて、適切な方法と内容で十分な情報を提供し、自発的な同意を受けて医療を提供します。その際、患者さんの病名・病態、予定している治療(検査)目的、内容、リスク、代替可能な治療(検査)法、何もしない場合に考えられる結果を説明します。また、治療に関しては、要望があれば主治医の立場から選択肢に優位順位をつけて説明します。また、説明は一度ではなく、必要があれば何度も繰り返して行います。
※なお、上記の経過は、カンファレンス(倫理)に記載する。
保険適用が認められているが当院では新規となる治療法を導入する場合は、まず当該部署で倫理面と医療安全面から十分に検討し、研修受講などによって技術修練を行う。その上で、「倫理委員会」に諮問し、承諾された場合は、病院長が当該治療法の実施を許可する。導入後、一定症例数あるいは一定の期間に達した時点で(症例数が少ない場合は一症例ごとに)、当該治療法の妥当性を検証する。
保険適用が認められていないが患者に有益と考えられる治療法を当院で新規に導入する場合は、まず当該部署で倫理面と医療安全面から十分に検討し、必要であれば研修受講などによって技術修練を行う。その上で、ヘルシンキ宣言を尊重し、文部科学省・厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」並びに「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を順守する臨床研究として「臨床研究倫理審査委員会」に諮問し、承諾が得られれば、病院長が当該治療法の実施を許可する。導入後、承諾時にあらかじめ定めた治療数に達した時点で、当該治療法の妥当性を「臨床研究倫理審査委員会」で検証する。
当院で臨床研究(治療以外)を行う場合は、まず当該部署で倫理面と医療安全面から十分に検討し、その上でヘルシンキ宣言を尊重し、文部科学省・厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」並びに「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を順守する臨床研究として「臨床研究倫理審査委員会」に諮問し、承諾が得られれば、病院長が当該臨床研究の実施を許可する。導入後、承諾時にあらかじめ定めた症例数に達した時点で、当該臨床研究の妥当性を「臨床研究倫理審査委員会」で検証する。
癌の末期、老衰、救命不能な患者、または意識回復が見込めない患者やその家族に対して十分な説明をしたうえで、心肺蘇生を行わない事に同意された場合、主治医は電子カルテの患者掲示画面「重要事項」に決定日を記載し他の医療関係者に周知する。
検査・治療・輸血・入院の必要性と実施しない場合の不利益について患者に十分な説明を行っても、患者が治療行為を拒否した場合は、患者が拒否できる権利を認めて患者の意見を尊重する。その際にはカルテに説明内容と患者の決定内容を記載する。
行動制限は人間としての尊厳を損なう危険性があり、法律でも禁止されていることから、下記に示す例外事項3条件を満たさない場合には行いません。しかし、患者さんの生命に危険が及ぶ場合など緊急やむを得ない場合(一時的に発生する突発事態)に限り、患者または家族の同意を得た後に、必要最小限の行動制限を行います。行動制限が行われる場合には、 毎日チームで協議し不要となった場合は速やかに解除します。
≪例外事項3条件≫
患者さん本人の知る権利を尊重し、本人への告知を優先します。原則として、すべての患者さんに、「がんなどの予後不良な疾患であっても告知を望まれるか」、外来受診時や入院時に希望をお伺いします。患者さんご本人が告知を希望されない場合には、患者さんから指名された代理人にお話しします。
終末期の判定は、複数の医師で検討し、慎重に判断します。 日本臨床倫理学会から提案された「医療処置(蘇生処置を含む)に関する医師による指示書」に従って患者さんの終末期の意思を確認します。
一般的に医師が入院治療を必要としない旨の診断をなし、診断に基づき患者に対し退院すべき旨の意思表示があったときは、特段の事由が認められない限り入院診療契約は終了すると考えられているので、医師は退院を拒否する患者および家族に対しても退院の方針を説明する。なお、患者の問題行動が病院の秩序を著しく乱したり、患者が医師・看護師の指示に従わず、医療業務が平穏に行われなかったり、著しく支障を及ぼすと考えられる場合や威力業務妨害や脅迫、暴行などの犯罪行為にかかると思われる場合は、診療を拒否しうる「正当な理由」になると考えられ院長が強制退院を勧告できる。
暴力行為等迷惑行為があった場合は、防犯管理マニュアルにて対処する。必要なら警察に連絡をする。
人生の最終段階を迎えた本人および家族等を支えることを目標とし、医師をはじめとする医療・ケアチームが、本人・家族等の意見を繰り返し聴きながら、本人の尊厳を追求し、自分らしく最期まで生きぬき、より良い最期を迎えられるよう、人生の最終段階における最善の医療とケアを作り上げるプロセスを示すために、この指針を策定する。
人生の最終段階における医療・ケアの方針決定は次によるものとする。
(1) 本人の意思の確認ができる場合
(2)本人の意思の確認ができない場合
本人の意思確認ができない場合には、次のような手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要がある。
(3)認知症などで自らが意思決定をすることが困難な場合
認知症や知的障害等で、自らが意思決定することが困難な場合は、厚生労働省作成の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定ガイドライン」を参考に、できる限り本人の意思を尊重し、反映しながら意思決定を支援する。
意思決定能力の評価については、当院緩和ケアマニュアル(I-19)も参照する。
(4)身寄りがない患者の場合
身寄りがない患者における医療・ケアの方針についての決定プロセスは、本人の判断能力の程度や入院費用等の資力の有無、信頼できる関係者の有無などにより状況が異なる。介護・福祉サービスや行政のかかわりなどを利用して、ご本人の意思を尊重し、厚生労働省の「身寄りがない人の入院及び医療に係る、意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」を参照し、支援する。
(5)複数の専門家からなる話し合いの場の設置
上記(1)から(4)の場合において、医療・ケアの方針の決定に際し、
等については、医療・ケアチームの申し入れにより、臨床倫理コンサルテーションチームに相談を行い、必要な場合には、倫理委員会で医療倫理に精通した専門家を含めた検討を行って、方針等についての助言を得る。
2022年4月1日 第1版策定
厚生連高岡病院
<引用・参考文献>
(平成27年4月1日 作成)
(平成28年8月22日 改訂)
(令和2年9月10日 改訂)
(令和4年4月1日 改訂)