タンポポだより 第22号 発行日 2010年2月18日
泌尿器科の近況・・・膀胱癌に関して
浸潤性膀胱癌に対して膀胱全摘を行う場合、尿管皮膚ろうや回腸導管、回腸新膀胱などの尿路変更を行う必要があります。いずれの方法であれ、うまくいったときは良いのですが時々トラブル症例をみることもあります。これまで私が経験したものでは尿管-回腸導管吻合部狭窄や傍ストマ腹壁ヘルニアなどがあります。これらの治療には難渋することが多く、ひどい場合は腎ろうバルンカテーテルを新たに造設して尿路管理せざるをえなくなり、せっかく膀胱癌は切除しきれたのにその後の生活に支障がでてしまったこともありました。
また腸管を一部切除する回腸導管や回腸新膀胱の場合は術後に腸閉塞をおこしたり、アシドーシスを呈する可能性もあります。(アシドーシス=体内が酸性に傾く状態:一時的なものでしたが一回だけ経験したことがあります。尿を貯めるように作った腸管が尿を吸収することで起きるようです。)
私たちもできるだけ患者さんに侵襲性の低い治療を、と心がけているのですが膀胱という臓器を摘出した後の尿の管理は難しいことがあります。もし拒絶反応をおこさない人工膀胱のようなものが存在していれば腸管を切除する必要もありませんし、手術時間もぐっと短くなり術後のトラブルも少なくなるでしょう。
近年ES細胞を用いた再生治療の研究が盛んに行われています。倫理的、技術的にもクリアしないといけない高いハードルがありますが、将来自らの細胞を用いて適切な臓器に分化させることができるようになれば臓器移植をはじめこれまでの治療法が大きく変わることになるでしょう。膀胱を摘出しても生活の質が術前と変わらなくなるような将来がくることを期待しております。
(厚生連・高岡病院 泌尿器科医長 、日本泌尿器科学会泌尿器科専門医 大筆 光夫)
”ストーマ外来”から・・・こんにちは!
厚生連・高岡病院では、毎週水曜日には外科、木曜日には泌尿器科にてストーマ外来が医局の先生と開看護師(皮膚排泄ケア認定看護師)が中心に行われています。
Q.ストーマケアは何とかしているが、これでいいのか非常に不安だ。
A.「心配なことがあれば病院にきてほしい」と 開看護師!ストーマケアの手技だけでなく食欲落ちなど、体調の変化などにも対処していただけ、一人で悩まず受診しましよう。
Q.ストーマの装具代にお金がかかり、困っている。
A.長年使い慣れた装具は、なかなか変更できませんが、ストーマ外来ではその人にあった装具の貼り方などの指導により、今までの約半分の装具代で済んだ例も有ります。
*開看護師からワンポイントアドバイス
ストーマ周囲がかぶれたり発赤が有る場合、ガーゼなどでゴシゴシ洗うのをやめ、手で石鹸をよく泡立てて、手でやさしくきれいにストーマ周囲を洗ってください。ストーマの際や下の見えない部分は、特に注意してきれいにしましょう。
(厚生連・高岡病院 皮膚排泄ケア認定看護師 開 )
タンポポの会・第15回総会のご案内
日時 3月27日(土)午前10時00分~11時45分
会場 厚生連・高岡病院 2F研修室(Ⅰ)
議題
①21年度活動と収支決算報告・・・(監査報告あり)
②22年度活動計画と予算案
③その他
「講演」 消費者トラブルと対処法 ”悪徳商法の撃退・・・”
(富山県消費生活センター・出前講座)
「日帰り旅行」の報告
日時 10月24日(土) 9時40分~16時00分頃
行き先 氷見・阿尾 民宿「すがた」
風の強い日でしたが参加者17人で ”氷見味三昧”帰り 「海鮮館」に寄り、元気を取り戻した楽しい日帰りでした!
「タンポポの会」の日帰り研修に参加して 太宰治の「ヴィヨンの妻」の小説の中に「たんぽぽ一輪のやさしさ」という話があり、この会の名前がとても好きです。 若い頃に民宿「すがた」に行きましたが、改装されてその頃の印象と全然違っていました。 入浴は遠慮しょうと思っていましたが、”天然温泉”と聞き思い切って入りました。お風呂は私ひとりの専用となりとても快い気分に浸りました。そして近況報告の時間です。自分で 自分をテストした処、お顔は覚えているのですが、お名前がなかなか浮かんできません。 デジタルカメラでデザインされる方、軽いスポーツをなさっている方、山野草に詳しい方等々矍鑠として話をされる姿、とにかく自分らしくエンジョイしておられるのに感動しました。ご一緒した開看護師は皮膚排泄ケア認定看護師とお聞きし、心強い思いをしました。 その後、”ジャンケンポン”が始まり、用意された可愛い景品をめざし、私たちはゲームに熱が入りとても楽しいひと時でした。お腹のほうもタップリふくれ海辺の景色に癒されました。平野先生、若々しい看護師さん、今日一日心伸びやかに豊かな時間を頂き感謝!(氷見 ほのか)・・・わたしは誰れ?
「人生の並木道」(山登りを運んでくれた第二の人生)
40年間のサラリーマン生活を終え、有り余る時間をどう過ごすかと考えた矢先の入院生活、お陰で無事に身障者の赤手帳を土産に退院、慣れないパウチの交換に悪戦苦闘の憂鬱な日々。古い写真を整理中、剣岳登頂の懐かしい1枚が目に留まり、何故か「もう一度挑戦してみたい!」という強い思いに駆り立てられました。しかし「こんな体で登れるのだろうか?」と大変危惧しましたが、慎重な準備と計画、そして「幸せの女神」が微笑み、何とか無事登頂でき、再びの感動を味わうことが出来ました。それ以来、山登りに取り付かれて妻と多くの山登りをし今日に至っています。振り返れば「山登り」の辿る道と「人生」は重なるようです。道のりは大変でもテンポが遅くても、何時かは必ずご来光のような光にめぐり会えると信じて信じて歩き続けるようになりました。二つと無いいろんな道・・・立ち止まり・・・満足しながらまだ見えぬ山頂に向かって歩き続ける中で、付き合ってくれる妻の息ずかいや歩き方で、聞かずとも疲労度合いが判る「一心一体」になっている自分に気付きましたお互いにこんな気配りをしながらの行動は過去の記憶にはありません。山登りが運んでくれた人生に悔いなく感謝の気持ちを大切にしながら、二人三脚で暮らしたいと思っています。(清水 潔)
編集後記
年3回(1月・5月・9月)発行をめざしていますので、会員各位の投稿が増えて「タンポポだより」が賑やかになるように、皆さんの投稿協力をお願いします。次の23号は5月末発行で5月5日締切です。リクエストで新コーナーを設けますので (仲間と集う・ちょっと一言・話題の窓・私の夢・・・)泌尿器科の外来窓口へご一報ください。(タンポポの会事務局)