広角眼底カメラの導入について
このたび2022年12月から当科で導入した広角眼底カメラ“Optos🄬 California”についてご紹介します。
眼科の検査において、眼底検査(目の奥、網膜や視神経の状態を調べる)は非常に重要です。しかし、詳細な観察のためには散瞳(瞳を開くこと)が必要でした。そのため検査後のまぶしさや、緑内障発作を起こしやすい方では散瞳できないという難点がありました。このOptosは、正確には超広角走査型レーザー検眼鏡と呼称され、レーザー光を使うことで、散瞳せずに、しかも従来のカメラと比較して圧倒的に広い範囲の眼底写真を得ることができます。1枚あたりの撮影時間は約0.4秒と非常に短く、散瞳のための待ち時間(30分~1時間)が不要になり、診察後はすぐにいつも通り車の運転などをすることが可能です。今回導入された機種ではソフトウェアが最新になったことで、従来と比較して写真の色調も改善されました。この広角眼底カメラは緑内障・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性など様々な診断に活躍します。
■画角の比較。Optosは1回の撮影で眼底の約80%を撮影可能です。
■従来のカメラ(約15%)と比較して、圧倒的に多くの情報を得ることができます。
いずれの病気でも、状態が刻々と変化している方では1~2か月毎、安定している方でも半年~1年毎に診察を受けていただくことで、適切な診断や治療につながります。広角眼底カメラといえども万能というわけではなく、検査や治療の内容によっては散瞳が必要な場合があります。このたびの導入により、当院や呉西地区の診療により一層貢献できるよう、引き続き努力してまいります。
眼科医長 阪口 仁一