ダヴィンチXiによるロボット支援下手術をはじめます
厚生連高岡病院 泌尿器科 診療部長 四柳 智嗣(よつやなぎ さとし)
この度、厚生連高岡病院では、よりよいがん治療を提供するために、アメリカ合衆国インチュイティブ社が開発した最新で最上位機種である手術支援ロボット:ダヴィンチXi(da Vinci Xi)を導入しました。日本では、いまや泌尿器がん手術の多くはロボット支援下腹腔鏡手術へ移行しており、当院も金沢大学附属病院の協力のもと、ダヴィンチによるロボット支援下腹腔鏡下前立腺摘出術を本年9月より開始し、従来よりも更に体への負担の少ない、精度の高い手術が提供できます。
【ダヴィンチによる前立腺手術の特徴】
①傷が小さい(図1):内視鏡や鉗子を挿入するため10~15㎜の傷が5~6か所。
②術後の痛みが軽い:傷が小さいので痛みが少ない。
③術後の回復が早い:回復が早く、術後2日目にはシャワー浴や入浴が可能。
④手術の合併症が少ない:化膿が少なく、開腹手術に比べ腸閉塞などの発生率も低い。
⑤手術中の出血が少ない:従来は多量の出血を起こす恐れがありましたが、炭酸ガスによる気腹下の手術であること、拡大した3D視野での手術で、精度の高い手術ができるため出血が少なくなりました。
⑥機能の温存に有利:術後尿失禁の回復が早く、勃起機能温存手術での成績が良い。
⑦執刀医の体力的負担が軽減:執刀医が疲れにくいので、より精度の高い確実な手術ができる。
この前立腺手術導入後には、令和2年より順次、腎癌、膀胱癌の手術を開始する予定です。前立腺腫瘍マーカーPSA値が高い、排尿の調子がおかしいなどの症状があれば、ぜひ厚生連高岡病院泌尿器科へご相談ください。