子どもの発達について シリーズ② 「発達障害についてーその1」
発達障害は病気ではありません。発達障害者支援法の第2条に、発達障害者とは発達障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などの脳機能障害で、通常低年齢で発現する障害)がある者であって、発達障害及び「社会的障壁により」日常生活または社会生活に制限を受けるもの、と定義されています。最近は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害はひとくくりに自閉スペクトラム症と呼んでいます。小・中学校の通常の学級において学習面又は行動面において著しい困難を示す児童生徒の割合は、平成24年度6.5%(推定値)で毎年増加しています。
発達障害とは、発達の遅れ、知能の遅れなど、何らかの遅れがある状態ではありません。人との関わり(社会性)がうまく持てないとか、多動や衝動、不注意、知能の遅れという「特性」あるいは「素因」を持っているために、実際の社会生活上で支障や不利益を来している状態を『障害』と呼びます。「特性」を持っていても社会的に困らない人は、支援が必要ないので『障害』と言いません。著名な研究者、有名人、芸能人、こだわりのある料理人・技術者などは皆さんの周りにもいるはずです。
発達障害児とは、変わっている子ではなくみんなとは違う子、困った子ではなく困っている子、付き合うのが難しい子ではなく世の中で生きていくのが大変な子、わからないことをする子ではなく世の中の仕組みがわからない子、言うことを聞かない子ではなく言われたことが理解できない子です。いわゆる「普通」の多数派に混じり苦戦して生きている少数派と言い換えてもいいでしょう。次回のシリーズ③では、発達障害を疑う訴えについて解説します。
小児科 診療部長
窪田 博道