先送りしない技術で、糖尿病の中断、放置を防ぎましょう
糖尿病には目や腎臓、足が悪くなる、食事療法が難しいなど、あまり良くないイメージがあります。そのせいか、健康診断で高血糖を指摘されても、病院受診しないまま10年間も放置してしまったり、一度病院に来ても自己判断で何年も治療を中断してしまったりする方がいます。
糖尿病治療を放置、中断すると失明や腎不全など重篤な合併症を発症しやすくなります。自分の健康が大切なのは当たり前なのに、どうして何年も放置してしまうのでしょうか。診察していると、不安から病気とうまく向き合えず放置してしまった患者さんが多いように感じます。大きな不安があるときは、いろいろと理由をつけて、重要なことを先延ばししてしまいがちです。例えば、お酒をやめると余計ストレスで血糖が高くなるなど、冷静に聞くと少しおかしなことを言って受診を避ける方が多くいらっしゃいます。
ここで先延ばししない3つのコツを紹介します。
1. 冷静に論理的な解決をつける(不安に溺れてしまって具体的に行動できない)。
2. 完璧主義をやめる(どうせ完璧に至らない)。
3. 意志が弱い自分を許す(待っていても意志は強くならない)。
先延ばしの原因は、完璧主義と自己否定といわれています。糖尿病について様々な不安をお持ちの方も多いと思いますが、完璧でなくても、意志が弱くても、一歩踏み出せば確実な治療効果が得られます。当科では、医師だけでなく看護師、栄養士などチームで優しく温かく治療に当たりますので、不安なときこそ冷静に考え受診を先延ばしされませんよう、よろしくお願いいたします。
糖尿病・内分泌内科長
島 孝佑