地域医療の明日をみつめる 厚生連高岡病院ホームページにようこそ。

厚生連高岡病院

〒933-8555 富山県高岡市永楽町5番10号
TEL 0766-21-3930(代) FAX 0766-24-9509
文字サイズ変更
文字サイズを小さく
文字サイズを大きく
厚生連高岡病院トップページヘ
厚生連高岡病院のアクセス情報へ

ニュース&トピックス

すこやかワンポイントアドバイス

「鏡視下手術の進歩」シリーズ④ 肝胆膵疾患に対する鏡視下手術

大きな病院において、お腹の外科(消化器外科)では、担当する臓器や疾患を細分化することで、より高度で専門的な治療が行われてきています。厚生連でも上部消化管(胃や食道)、下部消化管(大腸や肛門)、肝胆膵(肝臓・胆道・膵臓・脾臓)の3チームを編成して、それぞれが診療に当たっています。katou-dr
全国的に手術件数が増加している腹腔鏡手術は、お腹に数ミリから数センチの小さな孔を数か所あけて、高精細なテレビカメラと精緻な手術用器具を挿入して行う手術です。深部の臓器にカメラで近接することで、お腹の壁の破壊や周辺臓器のダメージを最小限にできるため、患者さんの負担が少なく、術後の回復も早いことが実感できます。肝胆膵外科が扱う臓器は、特に体の奥まった場所に位置するため、開腹手術では病巣に到達するための大きな皮膚切開を要します。そのため肝胆膵領域においても腹腔鏡手術の治療効果は絶大であり、その適応が拡大しています。現在、罹患数が多い胆のう結石では治療の第一選択となっており、また従来は手術が難しく開腹手術となることが多かった急性胆嚢炎(細菌感染をおこして腫れがひどい状態)も、手術器具の進歩や手技の工夫によって、安全に腹腔鏡手術がおこなえるようになっています。その他、肝のう胞などの肝臓良性疾患や、脾臓や膵臓の良性疾患に関しても、腹腔鏡手術が主流となってきました。
一方で、肝胆膵領域の悪性腫瘍(がん)に対する腹腔鏡手術は、病気の悪性度が高いことや、手術手技が難しいことから、導入が遅れていました。肝臓癌に対する腹腔鏡手術は、2010年に肝部分切除が、2016年よりその他の大きな肝切除にも保険適応が拡大されています。また、膵臓癌に対しては2016年より保険適応となりました。ただし、現在はがん手術の安全性と根治性を調べるため、限られた施設での実施や、手術症例の全国登録調査が行われている段階です。手術が必要となった場合には、病気の状態に応じて、適切な治療方法を上手に使い分けることが重要です。

外科 診療部長待遇

加藤 洋介