花粉症
アレルゲン免疫療法という言葉を聞いたことがありますか?アレルギー物質を少量から体に投与することで体をアレルゲンにならし、アレルギー症状を治すまたは症状を和らげお薬の量を減らすことが期待できる治療法です。2014年からスギ花粉症に対してこのアレルゲン免疫療法である舌下免疫療法が一般治療として開始となりました。舌下免疫療法は1日1回、スギ花粉を抽出した薬を舌の裏側に毎日垂らしていく方法で、最低3年は継続が必要な治療です。
そもそも花粉症は花粉に暴露され引き起こされる、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを3大症状とする鼻粘膜のアレルギー疾患です。その患者数は年々増加しスギ花粉症患者は特に増加しています。その理由はスギ花粉の飛散量増加やスギ花粉に対する発症が若年化し自然に症状が治ることも少ないためと考えられています。時にその症状は集中力の低下や睡眠障害など日常生活にも影響を及ぼし、花粉症薬による症状緩和が必要となります。しかし眠気などの薬の副作用に悩まされたり、症状が重いほど薬の服用数が多くなったりと問題もあります。そのため舌下免疫療法は毎年のスギ花粉症症状が強い方や眠気などの薬の副作用が気になる方、今後受験を控えた若い方などに特にお勧めです。また舌下免疫療法にはアレルギー性結膜炎や気管支喘息にも効果が及ぶことや、新たなアレルギー疾患の合併を防ぐ効果もあります。
毎年のスギ花粉症に悩んでおられる方は一度相談してみてもよいかもしれません。ただし舌下免疫療法はスギ花粉症のシーズン中に始めるとかえって症状を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。シーズン終了後に受診されることをお勧めします。
耳鼻咽喉科 医長
平井 信行