『君の膵臓をたべたい』(住野よる)
おすすめの2冊目は
『君の膵臓をたべたい』
著者のデビュー作であり、2016年「本屋大賞」第2位に輝いています。
人とのかかわりを必要としない「僕」と
天真爛漫でクラスの人気者の桜良、
交わるはずのなかった二人の運命が、
ひょんなきっかけで桜良が余命いくばくもない身
であると知ったことで動き出します。
恋愛でもない、友情でもない、
彼女の重大な秘密を共有している
というつながりの中で、次第に必要とし必要とされる
関係になっていく二人。
特に桜良との出会いと別れを通して、
変わっていく「僕」の心の描写が見事で、
泣きながら一晩で読了した記憶があります。
人生は、良くも悪くも人と関わって生きていかざるを得ません。
距離感を間違えると互いに傷ついたり、
愛憎の感情に振り回されたりしますが、
やっぱり人との出会いっていいものだな、
そして、どんな人とも例外なく別れていかなければならないんだな、
今を大切にしなければならないな、と
周囲の人を大切にしたくなる一冊です。
本藤 有智
真生会富山病院 消化器センター
厚生連高岡病院 消化器内科 非常勤医師