大腸内視鏡検査に見る人生の要諦
消化器内科医にとって登竜門といってもいい大腸内視鏡検査。
挿入には高度な技術が要求され、一歩間違えれば穿孔して大惨事となる。
これまで、曲がりくねる大腸を力でねじ伏せ、思い通りに入れることに腐心してきたわけだが、
経験を重ねるにつれ、
大腸内視鏡検査は「入れる」のではなく「入る」ものなのではないかと思い至るようになった。
曲がりには曲がり、直線には直線でと、大腸の動きに応じて合いの手を入れるようにすると、あら不思議、スコープは奥へ奥へと勝手に入っていく。
転じてこれは人間関係にも言える秘訣のようにも思う。
相手を思い通りにしようと躍起になるよりも、出方に応じて丁寧に対応していくと、案外道は開けるものだ。
「入れる」より「入る」
大腸内視鏡検査の極意は人間関係の要諦でもあるのかもしれない。
本藤 有智
真生会富山病院 消化器センター
厚生連高岡病院 消化器内科 非常勤医師