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ニュース&トピックス

M先生のコラム

初めての論文作成に思う 後編

先号では、臨床医の仕事、<診療>と<教育・研究・学会・論文>について書きました。
今回は論文作成の流れを、私の経験を通して紹介したいと思います。

はじまりは一昨年初夏。
学会総会で口演した演題が、何の間違いか別の学会を主催されている先生の目にとまり、
「うちの学会でも発表してくれないか」とオファーがありました。
光栄なこと、と上司も喜び、デング熱の混乱冷めやらぬ新宿・京王プラザホテルにて再び登壇の機会を得ました。

終了後、会場で渡された一通の封筒。
中には「論文ご投稿について」とあり、これが論文作成への口火となりました。
推薦論文(※1)の案内だったのです。
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※1 推薦論文
論文を作成する場合、自分で医学雑誌に投稿する場合と、
学会発表の折、事務局から推薦されて学会誌に投稿を勧められる場合とがあります。
推薦論文は、及び腰の若い医師に執筆の背中を押してくれる仕組みのようです。
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帰って上司に相談すると、ぜひやってみたらいい、とのこと。

年明けから本格的に着手したものの、何しろ初めてだらけで、暗中模索の日々が続きました。
初稿完成まで3ヶ月、構成から図表作成、データの再検討など、課題は山ほどありました。
悪戦苦闘の末、やっとのことで送付しましたが、
査読(※2)結果は惨憺たるもので、辛辣な(としか読めない)意見が満載された返信をみたときには、気絶しそうになりました。
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※2 査読
論文事務局には、査読者という人がいて、寄せられた原稿をチェックしてくれます。
時に厳しい指摘を受けて意気消沈させられますが、
そこをグッとこらえて修正することが、論文をよりよいものする上で大切な作業となります。
場合によっては、修正意見すら示されず、一読して「却下」となることもあります。
指摘されるのは「磨けば光る論文」と思われているからで有り難いことなのです。
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めげそうになる自分を必死で励まし、再び立ち上がって筆をとること数ヶ月。
今度こそ!と、満を持して提出した第2稿も、こっぴどく指摘され真っ赤になって返ってきました。
賽の河原が脳裏をよぎり、天を仰いで呆然としていましたが、再々に修正を重ねた第3稿。

編集部から届いたメールを恐る恐る開くと・・・
「編集委員で検討した結果、あなたの論文を採用します」

ヤッター!!━(゜∀゜)━!
すべての努力が報われた瞬間でした。

構想から受理まで約1年。
論文作成がこんなにも大変だとは思ってもみませんでした。
しかし、これ以上ない成長の機会でもありました。
ぜひ医療に関わる皆様には、診療の歓びだけでなく、論文作成を通して医学の発展にわずかなりとも貢献できたと思える瞬間を体験してもらいたいと思います。
私も続けてテーマを探し、医師の務めを果たしていきたいと思います。

(消化器内科 本藤 有智)

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