家族は空気
「家族って空気みたいだね」
先日、自宅を訪れた母の、ふともらした言葉にハッとさせられた。
家族は空気、確かにそうだ。
空気は色もなければ形もない、においは、たまにあるかもしれないが、その存在を意識することは少ない。
しかし、私たちは、空気から大変な恩恵を被っている。
呼吸に必要な酸素はもちろんのこと、太陽からの有害な電磁波も、大気が大半を吸収してくれているからこそ、人類は今日までの繁栄を謳歌してきた。
同様に、家族は当たり前の存在すぎて、意識することは少ない。
だが、間違いなく、陰に陽に自分に愛情をかけ、世話をしてくれた家族があったからこそ、今日まで自分は生き、今を生きることができるのである。
空気も愛情も、目には見えないが、私たちにとってかけがえのないものであるところに大きな共通点がある。
母の何気ない一言であったが、家族の大切さがしみじみと思われ、すっかり感じ入ってしまった。
(消化器内科 本藤 有智)