寺澤秀一先生による臨床教育レクチャー
2023年3月17日に今年度5回目の寺澤先生との症例検討会が行われました。
1例目は心窩部から左下腹部に移動する腹痛を主訴に救急外来を受診した40代男性の急性膵炎の症例でした。40代の高血圧の既往や喫煙歴から血管疾患は疑うこと。血管疾患を強く疑うならクレアチニンの値が高くても迷わず造影する、もしくは単純CTで診断がつかなければ造影することをためらわないことが重要だと教えていただきました。圧痛部位から支配血管や臓器を考慮すること。今回の鑑別では腹腔・上腸間膜動脈や左腸骨動脈の解離や泌尿器疾患が考えられました。
2例目は心窩部痛を主訴に救急外来を受診した50代男性の腸閉塞の症例でした。まず腸閉塞とイレウスの定義を明確にしていない研修医が多いということ。手術歴の有無、完全閉塞の有無、病変は大腸か小腸か区別することが重症度や治療方針を考える上のポイントであると教えていただきました。この症例は術後癒着+食物による不完全閉塞の小腸閉塞でした。
今回も実習中の学生さんも参加して、寺澤先生のユーモアのある経験談で和やかな雰囲気の中、診察のテクニックや鑑別診断の考え方についてとても学びのある充実したレクチャーとなりました。今回も貴重なご指導ありがとうございました。来年度もよろしく御願いします。