Dr.Gautam Deshpandeによる臨床教育レクチャー
2023年1月14日、新年最初の臨床教育レクチャーは今年度4度目となる順天堂大学病院 総合診療科特任教授 ゴータム・デシュパンデ先生の症例検討会でした。
今回も研修医が経験した症例を英語で症例提示を行い、ゴータム先生と参加者が一緒に診断推論を行っていきました。参加者は研修医、総合診療科専攻医の先生だけでなく医学生にも参加いただき活気ある議論が行われ、楽しく診断推論を学んでいきました。
今回の症例は「動眼神経麻痺(Tolosa-Hunt症候群)でステロイド治療、免疫グロブリン療法の既往がある60代男性の8か月前から持続する口喝、多飲、多尿」というものでした。まずは現病歴から多尿(polyuria)に焦点を当てて、詳しい病歴、身体診察から鑑別を考えていきました。追加の情報で性欲減弱(loss of libido)と症状出現前の直近に実母との死別による精神的な要因も疑われました。そこから、心因性多飲を候補に入れつつpolyuriaとloss of libidoが合併する疾患を一つ一つ考えていきました。診断を考えていく合間に、ゴータム先生からloss of libidoについて患者さんに問診する方法や精神的ストレスを抱えた患者さんには、うつ状態の簡易スクリーニングであるPHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)を必ず行った方が良いということを教わりました。
症例の実際の最終診断は「成長ホルモン分泌不全を伴った特発性中枢性尿崩症」でした。デスモプレシン内服で症状改善はしましたが、今後、性腺機能低下についてテストステロンの測定やidiopaticではなくunknown autoimmune attackによる尿崩症を疑ってさらに検査を勧めた方がいいという貴重なアドバイスも頂きました。
今回教わったことを今後の診療にしっかり生かしていきたいと思います。お忙しい中、貴重な経験をありがとうございました。また、次回もよろしくお願い致します。