Dr.Joel Branchによる臨床教育レクチャー
先日、今年度4度目となるJoel Branch先生の臨床教育レクチャーがあり、ベッドサイドティーチングとシニアレジデントの症例検討会の2部構成でご指導いただきました。今回も2部ともBranch先生が頭の中で実際にどういう風に考えて診断推論をしていくのかを解説頂きながら、問診や身体診察のポイントについて学びました。
前半のベッドサイドティーチングでは、実際の入院患者さんのご協力のもとBranch先生が身体診察をして、得られた所見からどんな疾患が考えられるかを学んでいきました。先生が診察して重要な所見があった時には参加者も実際に所見をとらせて頂けるので、とても勉強になり、日常診療にもしっかり生かすことができます。今回の患者さんはBranch先生の診察で神経疾患が疑われ、全身の診察に加え、神経診察を重点的に学びました。印象的だったのは、Pout reflex(口尖らし反射)やGrasp reflex(把握反射)が陽性であれば前頭葉の機能障害が想起されるということです。Pout reflexに関しては所見の取り方や見方すら知らなかったのでとても勉強になりました(他にも、前頭葉機能の障害が疑われる反射として、眉間反射、手掌頤反射、足底筋反射、吸引反射など)。今後担当する患者さんに前頭葉機能の障害が疑われたら積極的に診察に取り入れていきたいと思います。
後半のシニアレジデントの症例検討会では、実際にシニアレジデントの先生が経験した症例をBranch先生と共に診断推論をしながら、関係する所見や疾患について学んでいきました。今回は主訴が嘔気・嘔吐、下痢、めまいの方で、病歴、生活歴、身体診察、検査結果などの情報からBranch先生がどういう風に診断に迫っていくのかを参加者も一緒に考え、時折、問診や診察のコツ(バイタルサインをとる時→THRO(2)BS、T:Temperature、H:Heart Rate、R:Respiration Rate、O2:SpO2、O:Orientation、B:Blood pressure、S:Severity of pain /頭痛の問診、診察→SOCRATES、S:Site、O:Onset、C:Character、R:Radiation、A:Alleviation factor、T:Timing、E:Exacerbating factor、S:Severity)もご教授頂きながら学びました。最終的な診断に至った後も、なぜその病気が起きたのかということまで丁寧に考えることを教わりました。診断がついたら終わりではなく、その原因となる病態や基礎疾患についても考えて、検査、治療を進めていくことの大切さを改めて実感しました。普段から、診断された病気だけを診るのではなく、患者さんに何が起きているのかを俯瞰的に考察して患者さん一人一人を診るように努めていきたいと感じました。
Branch先生、ご指導ありがとうございました。また12月も楽しみにしております。