寺澤秀一先生による臨床教育レクチャー
福井大学地域医療推進講座教授、寺澤秀一先生にお越しいただき、2例の症例検討会とレクチャーをして頂きました。1症例目は、頸部腫脹と呼吸苦を主訴とした若年の外傷性縦隔気腫でした。レクチャーが始まるや否やwheezesとstridorの違いについて非常に特徴をとらえた声まねで体現してくださり、そのユーモアあふれる寺澤先生の世界にいっき引き込まれてしました。若年の胸痛の鑑別として自然縦隔気腫があり、胸部立位正面と頸部側面のレントゲンで診断し、帰すことができるというお話からは今まで安易に気胸を疑い鑑別に自然縦隔気腫を挙げられなかった自分を恥ずかしく思いました。2症例目は、倦怠感と上腹部痛を訴える高齢者の鼠径ヘルニア嵌頓の一例でした。身体所見で、鼠径部の診察は下着で隠れて見落としてしまう箇所であり、必ずヘルニアも念頭に置いて、診察をしなければならないことを改めて痛感しました。高齢者の腹痛は若年者と異なり血管系も鑑別にあげ、より造影CTが有用であることなど、他にもはっとさせられるような診断までのプロセスを数多く教えていただきました。まだまだ不勉強な身であり、日々診療や救急外来の場で四苦八苦しておりますが、このような検査を選択したり、診断したりするうえですぐに生かすことのできるお話をたくさん聞くことができ、非常に勉強になりました。家に帰ったら本棚に置かれている「研修医当直御法度」をまた愛読したいと思います。また次回のレクチャーも楽しみにしております。ありがとうございました。
(研修医 Y)