ダヴィンチXi導入 ロボット支援下手術はじまる
(2019.10)
泌尿器科 四柳 智嗣
9月、厚生連高岡病院にいろいろな方々のご尽力でインチュイティブ社が開発した手術支援ロボットの最上位機種である:ダヴィンチXi ( da Vinci ) を導入されました。多職種によるダヴィンチチームの結成から、ロボットの操作をする術者資格の取得、手術助手の資格の取得、各担当者の長時間にわたるトレーニングを経て、当院でついにダヴィンチを使った腹腔鏡手術を行うことができるようになりました。日本では、泌尿器がん(前立腺がん、腎がん、膀胱がん)の治療に最も早くから多くの施設で使用されており急速に普及しています。ロボット支援下手術は従来の腹腔鏡下手術や開腹手術に比較して精度の高い手術が可能になり、いまや泌尿器がんの手術の多くはロボット支援下腹腔鏡手術へ移行しています。
平成30年4月からは泌尿器科以外の多数の領域(消化器外科、呼吸器外科、心臓外科、外科、産婦人科、耳鼻科)の手術に適応が拡大されさらに普及すると推測されています。
当院では令和元年9月から前立腺がんに対する手術を開始し、令和2年から順次腎がん、膀胱がんに対する手術を実施する計画です。本年11月からは消化器外科部長小竹医師を中心とするグループで直腸がんに対する治療も開始されます。従来よりも更に体への負担の少ない、精度が高い手術をおこない、がん治療成績の向上、排尿、排便、性機能温存のさらなる改善が期待されます。提供できると期待しています。
ダビンチサージカルシステムの特長
1)立体的な3D HDの手術画像を提供することで医師は患者の体内を覗き込み、実際に術野に手を入れて 操作しているような視野を確保しながら手術を行うことが可能です。
2)医師がロボットアームに装着されている3本のインストゥルメントを操作することで、精緻な手術を行うことができます。
このことにより患者から離れたサージョンコンソールからの遠隔操作で人間の目、人間の手よりもさらに精緻な操作をおこなうことが可能となります。
前立腺がん手術におけるメリット
従来の手術と比較して【正確な切除】【よりよい神経温存手術 ・性機能の早期回復】【術後6ヵ月以内の尿禁制回復】 【出血の抑制】【輸血の必要性の低減】【合併症リスクの低減】【傷口の感染リスクの低減】【入院期間の短縮】【カテーテル留置期間の短縮】【より早い回復、日常活動への復帰】【神経および直腸損傷の低減】が証明されています。
われわれはロボット手術の導入で高岡医療圏のがん患者さんや連携施設の方々のお役に立ちたいと考えています。2020年には日本でも前立腺がんの発見数は男性のがんで1位になると推測されています。前立腺腫瘍マーカーPSA値が高い、排尿の調子がおかしいなどの症状があればぜひ厚生連高岡病院泌尿器科へご相談ください。