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学術コーナー

医局抄録

(医局研究会 2018.12)

病理診断科  野本一博

アミロイドーシスの病理診断

 

アミロイドーシスとは、線維状蛋白であるアミロイド細線維が細胞外へ沈着する疾患の総称です。下記の如く全身性アミロイドーシスと限局性アミロイドーシスに分類されます。
全身性アミロイドーシス:複数の内臓器官や末梢神経などが障害される(生命予後に大きな影響を与える)。
限局性アミロイドーシス:一器官または一臓器の局所にアミロイド沈着が起こる(大部分は良性な疾患)。

これまでに31種類のアミロイドーシスが報告されています。アミロイドーシスでは、蛋白質が立体構造(コンフォメーション)を変化させてアミロイドとして凝集し疾患を引き起こすことから、コンフォメーション病の1つとして捉えることもできます。全てに共通すると考えられているアミロイド線維形成機序は、まずアミロイド原因(前駆体)蛋白質が産生され、次にそれがプロセッシングを受け、重合、凝集してアミロイド線維となるというものです。

HE染色組織標本では、アミロイドは好酸性の無構造な物質として観察されます。コンゴ・レッド染色(当科ではDFS染色を使用)陽性(橙赤色に染まる)で、偏光顕微鏡下に観察すると、橙色・緑色複偏光を示します。電子顕微鏡下では、アミロイド線維は、幅7~13nmのゆるやかならせん構造をもった針状細線維として観察されます。アミロイド線維を構成する個々のアミロイド蛋白質は、ひだ状βシート構造を豊富に含み、そこにコンゴ・レッドの分子が結合すると言われています。

日常の病理診断で特に問題になるのは、全身性非遺伝性アミロイドーシスの病型の鑑別です。全身性非遺伝性アミロイドーシスには、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、Aβ2Mアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシスなどがあります。アミロイドーシスの病型診断は、各種抗体を用いた免疫染色(免疫組織化学)でなされます。診断が困難な場合、現在では、アミロイドーシスに関する調査研究班によるアミロイドーシス病型診断コンサルテーションに提出すると、ALκ, ALλ, ATTR, AA, Aβ2Mの免疫染色による鑑別を実施して頂けます。免疫染色により病型を確定できなかった症例は、熊本大学医学部アミロイドーシス診療センター、あるいは信州大学第三内科アミロイドーシス診断支援サービスでプロテオーム解析を実施し、病型を確定して頂けます。当科でもアミロイドーシス病型診断コンサルテーションで診断して頂いております。迅速にご診断頂き、免疫染色された切片も返却して頂けますので、勉強にもなり、大変有用で助かっております。

 

参考文献・参考サイト
1. 「難病情報センター|全身性アミロイドーシス」
http://www.nanbyou.or.jp/entry/207

2. 「日本アミロイドーシス研究会|アミロイドーシスについて」
http://www.amyloidosis.jp/about-amyloidosis.html

3. 大橋健一:アミロイドーシスの病理診断、病型診断.病理と臨床34:472-480,2016.

4. 「アミロイドーシスに関する調査研究班|アミロイドーシス病型診断コンサルテーションについて」
http://amyloidosis-research-committee.jp/consultation/