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ニュース&トピックス

学術コーナー

最近の消化器癌の薬物療法

(2018.3.31)

消化器内科 小川 浩平

〇消化器癌:
日本人の死因の第1位は悪性新生物“がん”です。3人に1人が“がん”で亡くなり、2人に1人が“がん”に罹患する時代であり、今や“がん”は国民病となっています。その“がん”の中でも、死亡数、罹患数とも全体の約半分を消化器癌(食道、胃、大腸、肝、胆、膵)が占めており、我々にとって、特に身近な疾患群であると言えます。

 

〇免疫療法の登場:
癌治療としては、これまで、手術、抗癌剤、放射線が主な治療でしたが、最近、第4の治療である “免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)”が登場しました。これまでは、外部からの力を借りて癌を治療するのに対し、免疫療法は、本来人間が持っている免疫力(異物を排除しようとする)を高めて癌を治療するという、極めて画期的な治療です。免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体(ニボルマブ)は悪性黒色腫(メラノーマ)で最初に証明され、以後、非小細胞肺癌、腎細胞癌などで次々に臨床応用され、昨年2017年9月より胃癌でも使用できるようになりました。
以下、大まかに臓器別の薬物療法を述べさせていただきます。

 

〇食道癌:
特徴としては、stage IからⅣまでの全ての病期において抗癌剤治療が行われます。FP療法(5-FU+シスプラチン)が標準治療です。stage Iでは根治的に放射線治療との併用(chemoradiation:CRT)を行い、stage IIとIIIでは術前療法として行い、あるいは根治的CRTを行います。stage Ⅳでは延命を目的として行い、時には姑息的CRTを行う場合もあります。2次治療としては主にPTX(パクリタキセル)を使用しています。免疫チェックポイント阻害剤も近々承認されると言われています。

 

〇胃癌:
1次治療はHER2陽性であれば、XP+Tmab(カペシタビン+シスプラチン+ハーセプチン)、HER2陰性であれば、SP療法(S-1+シスプラチン) or SOX(S-1+オキサリプラチン)が中心です。2次治療はPTX+ラムシルマブ、3次治療はニボルマブ orイリノテカンが推奨されています。

 

〇大腸癌:
複雑な治療系統であり、説明も困難ですが、要約すると、1次治療は
A群(5-FU or S-1 orカペシタビン)
B群(オキサリプラチン orイリノテカン)
C群(血管新阻害剤であるベバシズマブor抗EGFR抗体であるセツキシマブ、パニツムマブ)
とすると、A+B+Cの併用療法が標準です(ただし抗EGFR抗体はRAS遺伝子に変異がないことが条件)。最近はFOLFOXIRI(5-FU+オキサリプラチン+イリノテカン)+ベバシズマブという強力なレジメンも使用できます。2~3次治療は、A~C群の薬剤を使い切るように行い、ラムシルマブ、アフリベルセプトが条件付きで投与できます。3~4次治療以降は、経口剤であるTAS-102 orレゴラフェニブを使います。

 

〇肝癌:
長い間ソラフェニブが唯一の薬物療法でした。最近になって、ソラフェニブ抵抗性の2次治療としてレゴラフェニブが承認されました。

〇胆管癌:
GC療法(ジェムザール+シスプラチン)が標準療法です。2次治療はS-1が中心です。最近、1次治療においてGC療法に対するGS療法(ジェムザール+S-1)療法の非劣性が示されました。今後の治療選択肢の1つになると思われます。

 

〇膵癌:
4つの治療法があります。
・GEM(ジェムザール)
・S-1
・FOLFIRINOX(5-FU+オキサリプラチン+イリノテカン)
・GEM+ナブパクリタキセル
実地臨床ではGEM+ナブパクリタキセルが最も頻用されています。2次治療以降は、4通りの治療法をなるべく使い切るようにレジメンを選択していきます。
以上です。