ドクターヘリ運用について
(医局研究会 2015.11)
救急科 吉田 昌弘
本年8月24日、富山県ドクターヘリの運行が開始されました。本邦のドクターヘリは2001年より運行が開始されており、現在38道府県に配備され46機が運行しております。決して早い導入ではありませんが、ようやく北陸にドクターヘリ事業が開始されました。
ドクターヘリ最大の利点は、医師の現場派遣により、医療開始が早くなるという点です。つまり、ドクターヘリは「救急医療チームによる早期医療開始を目的としたシステム」と言えます。また、病院への迅速な搬送により、決定的治療開始時間の短縮が期待されます。ドクターヘリは、15分ルール(15分以内に傷病者に接触)を目標に活動されています。
富山県の運行実績は、現段階では1回/日程度であり、全国的にはかなり少ない状況です。ただし、運行開始初年度であり、今後更なる増加が期待されます。県内333ヶ所のランデブーポイントを作りましたがまだまだ足らず、今後さらなる増加の必要性があります。また、各病院の受け入れ態勢整備、基地病院の人員不足など、課題もいくつかあるようです。当院も傷病者の受け入れにおいて協力をしながら、フライトドクターの派遣依頼などが正式にあれば、前向きに検討していきたいと考えています。
救急医療の早期開始の観点から、ドクターカーの導入も必要と考えております。半径10km圏内はドクターカーがヘリに勝ると言われています。当院を中心に10km圏内を作図すると、高岡医療圏のほとんどをカバーします。つまり、当医療圏においてはドクターカーが非常に有用であると思われます。また、ドクターヘリの弱点である悪天候および夜間の運行不能を補足する意味合いにおいても有用です。現在、消防本部を交え検討中です。
以上、ドクターヘリの意義、富山県の現状、および当院の目標を説明いたしました。救急医のさらなる充足により、富山県の病院前救急がより充実したものになることを切望しております。