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ニュース&トピックス

学術コーナー

虚血性脳疾患の外科治療

(医局研究会 2014.11)

脳神経外科 高沢 弘樹

脳卒中は昭和26年から昭和55年まで死因の第1位でした。その後医療の進歩や救急システムの向上により死亡数は減っているものの今でも罹患数は多く、また重篤な後遺症を残す病気です。実際に現在介護保険法に基づく要介護5相当(ほぼ寝たきりの状態)の割合は平成24年度で約33%を占め一番多い割合となっています。(以下認知症、高齢による衰弱、骨折等骨疾患と以下続きます)
脳卒中とは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血をあわせて呼んでいます。近年その中でも割合が増加傾向にあるのが脳梗塞です。1960年の脳卒中は脳出血が約75%、脳梗塞が約15%程度であるのに対し、2010年には脳出血が約30%、脳梗塞が60%程度の割合に変化しています。 近年減塩傾向にある脂質の多い欧米化の食事が原因の主な要因に挙げられています。
今回その増加傾向にある脳梗塞について話します。脳梗塞は主に次の3つの病型に分類できます。
1)ラクナ梗塞(細い穿通枝と呼ばれる枝がつまり小さい脳梗塞を起こす)
2)アテローム血栓性梗塞(主幹動脈の動脈硬化が起き範囲の大きい梗塞を起こす)
3)心原性塞栓症(心臓内で血栓ができ、それが頭蓋内に流れ血管を閉塞させる)
そのうち特に増加傾向にあるのは2)アテローム血栓性脳梗塞と3)心原性塞栓症です。3)の心原性塞栓症の原因は年齢とともに増加する心房細動が原因です。それは近年アブレーションといったカテーテルを使った治療も行われていますが主な治療方法は抗凝固薬の薬物治療です。
2)アテローム血栓性脳梗塞は主幹動脈(特に内頚動脈)に動脈硬化がおき動脈狭窄もしくは動脈閉塞をおこします。一度起こしてしまった動脈硬化は薬で改善する事は出来ません。治療方法としてまず薬物治療が挙げられますが、それでも脳梗塞もしくは一過性脳虚血発作を繰り返す場合があります。そのような方に対し
・内頚動脈狭窄症の方には内頚動脈内膜剥離術
・内頚動脈閉塞の方には浅側頭動脈—中大脳動脈吻合術
と行った外科的治療法があります。共に日本の脳卒中の治療指針を示すガイドラインでも推奨されている治療方法です。当科でも行っています。ただしあくまでも今以上の脳梗塞の予防治療であり、既に起こしてしまった脳梗塞を改善させる治療ではありません。75歳未満の方ですでに広範囲な脳梗塞を起こしている(重度の麻痺がすでにある方)以外で該当するようであれば相談していただければ対応します。

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