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厚生連高岡病院

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ニュース&トピックス

学術コーナー

頭頸部(とうけいぶ)がんの患者さんへ

(2010)

耳鼻咽喉科

頭頸部がんとはどんながんですか?

頭頸部がんとは、顔のあたりや首、口の中やのどに発生するがんのことをいいます。喉頭がん(こうとうがん、呼吸をして声をだすのど)、咽頭がん(いんとうがん、息をしたり飲み込んだりするのど)、甲状腺がん、舌がん、上顎がんが代表的ですが、まれに耳の中やつばをつくる唾液腺にもがんは発生します。耳鼻咽喉科が日頃から診察、治療している部位で、以前から我々耳鼻咽喉科医が責任を持って診療にあたってきました。我々は口腔がんでは必要に応じて口腔外科医と協力して治療にあたっています。喉頭や、咽頭、口腔ではタバコや飲酒が大きなリスクファクター(危険因子、発生要因)となっています。禁煙やお酒を控えることにより防ぐことができるがんです。日本では年間8000-9000人程度の方が頭頸部がんでなくなっているものと推定されています。これは胃がんの約6分の1程度です。
甲状腺がんはその他の頭頸部がんとは異なり、タバコやお酒との関連は証明されていません。

 

診断はどのようにおこなうのですか?

頭頸部がんは比較的観察しやすい部位で、例えば口の中であればすぐに見えます。しかしながら意外と見過ごされたり症状を我慢して、進行がんになってから受診される方も多くみられます。
診断は肉眼での診察や、内視鏡を使用した診察で疑わしい部位があれば、その部位をすこしとって組織検査を行います。これを生検といいます。これでがんと診断がつけば、次は進行度を調べます。そのために部位や状況に応じてCTやMRI、PET-CT検査を行います。中には診断が困難で検査のための手術を要する場合や、血液中の腫瘍マーカーを測定することもあります。
甲状腺がんでは超音波検査と、針生検(細い注射の針で細胞をとってしらべる)が標準的な検査です。

 

治療はどのようにおこなうのですか?

頭頸部がんは顔や口、のどの病気ですから、むやみに切除すると手術後に顔が変形したり、発音が不明瞭になったり、食べ物の飲み込みが困難になったりします。現在では手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)をうまく組み合わせて、なるべく障害が小さくなるように工夫して治療を行います。
 一般的に早期がんであれば、手術は比較的短期間に治療が終了します。
放射線治療は、一回の治療は数分ですが、すべてを終了するのに6-7週間ほどかかります。これは放射線の副作用を抑えるためにすこしずつ照射するためです。最近では外来で通院しながら治療するかたが増えています。
化学療法は最近進歩が著しく、新しい治療法が次々に開発されています。抗がん剤は効果と副作用が同時に出ることが多く、この治療法に詳しい専門家チームの関与が必要です。当院は地域がん診療拠点病院で特に化学療法に優れた病院として指定をうけています。
甲状腺がんでは、外科的にきちんと切除することが大変重要です。周囲の神経や、気管や喉頭にひろがっている場合は特別な処置が必要です。術後は放射性ヨードの内服治療や甲状腺ホルモンの補充療法が必要になる場合があります。

 

当科の具体的な治療方針は?

おおまかな概略をお示しします。

喉頭がん、咽頭がんでは
早期 : 放射線治療だけで高率に治癒、場合によってはレーザー切除など。
進行期 : 放射線治療と化学療法の同時併用または手術。残存、再発した場合は手術。

舌がんでは
早期 : 2cm以下では切除。それ以上では放射線(化学療法)。
進行期 : 強力な抗がん剤療法と放射線療法または手術。残存、再発した場合手術。

上顎がんでは
早期 : 内視鏡での切除や上顎部分切除。
進行期 : 強力な抗がん剤療法と放射線療法または手術。残存、再発した場合手術を追加。

耳下腺がんでは
早期 : 手術による摘出。
進行期 : 切除と切除後放射線治療(化学療法併用も)。

甲状腺がんでは
早期 : 甲状腺半切と中心部リンパ節郭清。
進行期 : 甲状腺亜全摘または全摘と中心部、側頸部リンパ節郭清。

その他の治療法

動注療法
あしの付け根の太い血管からカテーテルという細い管をいれて病巣付近の血管に直接抗がん剤を注入する方法です。局所制御率は向上しますが(その部位の腫瘍は小さくなる、きえるが)生存率の向上はないという報告が多く、また高齢者では10%ほどの割合で、脳血管障害(血栓がとんで脳梗塞がおきる)や臓器が腫脹して呼吸困難になったり重大な神経障害がおこったりします。当科では他に治療法がなく、特殊な場合のみ患者さんと相談の上行っています。残念ながらあまりエビデンスのない治療法です。

頭頸部再建手術
進行がんで再発した場合、ある程度の機能障害はやむをえませんので大きく切除して、その後の治癒を期待します。その切除後の欠損部をお腹の筋肉や脂肪、皮膚や腕や脚の皮膚、腸を血管吻合して移植し再建します。当科ではこのような手術に150例以上の経験をもつ医師が治療にあたっており、このような高度の技術を要する手術も安心して受けていただけます。

緩和治療
緩和治療は末期患者の痛みをとる治療ではありません。現在では治療の早期から様々な不快な症状や痛みを取り除く治療としておこなわれています。当科では、放射線化学療法の不快な症状を和らげるために、さまざまな工夫を行っています。当科では抗炎症剤や鎮痛剤をうまく組み合わせて経口摂取で治療を完遂できるかたが多くいらっしゃいます。医療用麻薬も積極的に併用しています。栄養的な配慮は十分に行い、栄養不足にならないように配慮しています。(胃ろうを作って管をお腹の壁から胃へ早期から入れる施設もありますが、当科ではなるべくそのような処置はさけるようにしています。)

以上頭頸部がんでお悩みのことがあれば、何でも当科にお気軽に相談ください。

(Last update 04/01/2010)