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ニュース&トピックス

学術コーナー

救急疾患の心得 その2の巻

(院内学術講演会 2009.4.24)

福井大学 寺沢 秀一

平成21年4月24日に 寺沢先生の二回目の講演がありました。
救急医療に特に優れた実績をお持ちで、研修医のカリスマ的存在の先生のご講演には前回と同様170名を越える職員の参加がありました。 救急医療では的確な診断・治療以上に、患者さんへの言葉や態度が患者さんの信頼獲得につながること、また医師同士、職員間のコミュニケーションにおいても同様であることなど、ユーモアを交えてお話していただきました。当日参加された三人の方から印象記を戴きましたので掲載いたします。

 

 

【寺沢先生の御講演を拝聴して】

●救命センター 広田 幸次郎
寺沢先生の御講演の内容から、印象に残る幾つかの事柄を挙げてみました。
1)今まで寺沢先生が仰っていたことと同じようなことを現場でその都度言ってきたつもりでした。しかし、聴衆の皆さんの受け止め方には大きな違いがありました。その差は主に、「ユーモア」と「おやじギャグ」であることがよく分かりました。
2)寺沢先生のお話に笑っていられるのは、正直「私にはあまり関係がない」と心の片隅のどこかでそう思っていらっしゃるから。どの職種でも当事者にとっては、必ず一つや二つ思い当たる事例や人があり、結構笑えません。「それお前のことだろ!」
3)接遇の極意は、笑顔とユーモア、そして「役」を演じること。
大根役者の私はなかなか「役」になりきるのが大変。そのためにはトレーニングを積みましょう。各職場で電話対応コンテストでもなさってみては?
優秀者には表彰や賞金を(院長、総務課長、是非宜しくお願いします!)
4)また、翻訳に強くなる訓練も必要そうです。「これでこんな夜中に来たの?」を寺沢言語に翻訳すると「夜中は近所の病院は閉まっていますからね」となるそうです。
私は英語同様「咄嗟の寺沢言語」の訓練も必要そうです。少なくともスライドにあった用例集は暗記しましょう。
用例)年に1,2回しかやらないヘボゴルフ。やっとグリーンに載ったのに、次に私の打ったパットは勢いよくグリーンの反対側から落ちていきました。その時本当は、「あんた、力の加減知らんのか!この馬鹿野郎」とキャディーさんは言いたかったはず。しかし、咄嗟にキャディーさんの口から出た言葉は、「あらー、お客さん。しっかり打たれましたね。」しみる・・。いろんな嫌なお客を相手にしなければならないキャディーさんは、接遇のプロ!見習いたいものです。
5)最近院内にはいろんなモンスターが増えています。モンスターペイシェント、モンスター指導医そしてモンスター研修医まで。「ちょっと待って、それ私誰のこと?」
6)夜中の2時は人が変わる「魔の時間」。私なんてうっかりすると午後の2時には既に変わっています。皆さんも気をつけましょう。
7)電話対応を誤ったり、長くお待たせした患者さんの対応に注意が必要なのは私達にもよく分かりますが、「シャネルのバッグ」を持った女性は単なるお金持ちではないことも教えて戴きました。「ヴィトンのバッグ」と違いがあるのか、今度皆さんと調べてみたいものです。また、「ロレックスの時計」をした研修医も要注意かもしれません。手術室などで時計を外す癖のある私達がそんな高価な時計をしていると、直ぐに紛失してしまう悲劇に会います。
以上、救急のみならず各職場に生かすことができる示唆に富んだ事例を沢山ご紹介戴きました。皆さんも、各職場の接遇に取り入れてみられたら如何でしょうか?

 

●救命救急センター 菊川 哲英(後期研修医)
寺沢先生の講演を2回とも拝聴させていただきました。講演は全体に楽しく、ためになる内容でしたが、特に参考になった点が2点あります。1点は接遇について、もう1点は研修医の先生や見学に来てくれた学生の方との接し方についてです。
講演の内容の多くが接遇の重要性について具体例を出して説明していただいたものでしたが、どれも普段救急外来で見かけるような内容で、参考になるものばかりでした。同じ診療を行い、同じ結果を出したとしても接遇の仕方一つで患者さんや御家族に与える印象が大きく異なるということを再確認させていただきました。また、患者さんに対する対応のみならず、スタッフ間での上手なコミュニケーションの取り方なども例示していただき、非常に参考になりました。
もう一点の研修医の先生、学生の方との接し方ですが、彼らがいかに将来重要な人材となっていくかということを改めて気付かせていただきました。病院全体がスタッフ不足で苦しい折、1人1人を大切にし、「また一緒に働きたい、この病院でなら研修・就職してもいいな。」と感じてもらい、良い循環にもっていくことが非常に重要と感じました。自分もできる範囲でそう努めようと感じましたし、病院全体としてそのような空気にすることが必要と感じました。
今回の講演で得られたことを活かして、今後とも業務に励んでいきたいと思います。楽しい講演会を開いていただきありがとうございました。

 

●救命センター   ICU 田畠 得吏子
第1回・第2回と先生の講義に参加させていただきました。先生のお話はとても面白く、あっという間に時間が過ぎていきました。それだけでなく、共感できる部分が多く、先生の講義を通して自分自身の接遇の仕方や患者さん・家族の方への思いについて振り返ることができました。
私は病棟勤務なので、夜間や休日に救急外来を受診される患者さんや家族の方と直接関わることはありませんが、本来なら休んでいるはずの夜間やスタッフの人数が少ない休日に受診されると苛立ちを覚え、冷たく関わってしまうこともあると思います。しかし患者さんや家族の気持ちを考えると、苦痛があったり、不安だからこそ受診されるのであって、それを理解するのが医療従事者の大切な役割だと思います。私達医療従事者の一言で患者さんや家族の方に安心感を与えたり、逆に不安・不信感を与えたりと、私達の関わりが大きく影響します。それは外来でも病棟でも同じであって、以前夜間に入院された小児の母親から「熱が下がらなくて不安で、夜に病院に来てしまったけど、先生にも看護師さんにも優しくしていただいて、それだけで安心できました」と言っていただいたことがあります。私達の仕事は、まず患者さんや家族の方を安心させてあげることなのではないかと思います。忙しかったり、疲れていたりするとつい、イライラしたりすることもありますが、どんな時も患者さんや家族の方の気持ちを考えて関わっていける看護師でありたいと思います。