ステロイドに頼らない治療が充実 - 突発性難聴 -
(2009)
耳鼻咽喉科
日本での突発性難聴の治療はステロイド剤が中心ですが、多くの論文の治療成績を総合的に検討するメタアナリシスという手法で、実はステロイド剤が他の薬剤に比して優れているという証拠がないことが最近の論文で発表されています。(アメリカの雑誌の論文:Conlinら, Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2007;133:573-581.)
ステロイド剤はいろいろな疾患に有効で有益なおくすりではありますが、有害な副作用が多いのも事実です。たとえばリンパ球の働きを抑えるため感染症への抵抗力を弱めたり、消化管の潰瘍を誘発したり、高血糖をきたし糖尿病を悪化させる、うつ状態の誘発、また将来的に大体骨頭壊死のリスクを高めたり、二次性骨粗しょう症を誘発したりします。
当科では突発性難聴に対して標準的なステロイド治療も行っていますが、将来的な副作用も考えそれ以外の治療法も充実させています。
当科では突発性難聴に対して標準的なステロイド治療も行っていますが、将来的な副作用も考えそれ以外の治療法も充実させています。
具体的には、
◆ ビタミン剤(B12,E,C)や循環代謝改善剤の投与
◆ 血管拡張剤(プロスタグランディン)や抗血栓剤(バトロキソビン、商品名デフィブラーゼ)投与
◆ 高気圧酸素療法
などがあげられます。
これらの治療法にはそれぞれの利点と欠点があり適応も異なりますので、医師と充分相談の上希望の治療を、うけていただくことができます。ステロイド剤中心の治療に疑問を持つ方や、効果が不十分であった方はぜひ当科でご相談ください。