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厚生連高岡病院

〒933-8555 富山県高岡市永楽町5番10号
TEL 0766-21-3930(代) FAX 0766-24-9509
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新着情報 厚生連高岡病院からのお知らせ

ISO15189の認定取得(更新日2022年7月13日)


臨床検査部
iso認定当院臨床検査部は、2022年6月24日に国際規格
「ISO15189」の認定を取得しました。

iso認定証

国際規格ISO15189とは、ISO/IEC17025及びISO9001に基づき、臨床検査室の品質と能力に関する特定の要求事項を規定したものです。世界共通の基準で、臨床検査業務の管理面から技術面までが審査対象となり、認定取得には非常に厳しい要求事項を満たす必要があります。
継続的な改善により、質の高い検査データを利用者(臨床医や患者さん)へ提供できるよう品質維持に努めていきます。
当院ISO 15189の詳細は、(財)日本適合性認定協会のページでご覧いただけます。
(財)日本適合性認定協会「ISO 15189臨床検査室検索」のページへ

中央採血室


臨床検査部

・臨床検査部  ・生化学・免疫検査  ・血液検査  ・一般検査
・細菌検査室  ・輸血管理室  ・生理検査室

中央採血室は東診療棟1階に設置されており、臨床検査技師6名、看護師1名、事務員1名のスタッフで外来患者さん、約250~300名の採血を行っています。
採血台には患者照合機を備え、システムで管理し正しく採血できるようにしています。
尿検査の受付もこちらで行い、中央採血室隣のトイレで採尿できるようになっています。

kensa-1

≪採血についてのご説明≫

◆採血部位について
採血室での採血は静脈に限定しています。通常はひじの血管から行いますが、血管が細いなど採血が難しい場合は前腕や手の甲から採血することもあります。
他の検査の都合上、こちらで血管を指定させていただく場合があります。
◆採血量について
通常の採血では大さじ一杯程度の量です。検査の内容によりそれよりも多くなる場合もありますが、体への影響はありませんのでご安心ください。
◆採血回数について
1回で全量の採血が行えるよう努めておりますが、血管の状態により十分な量が採取できない場合は2回行う場合もあることをご了承ください。
また、2回行っても採血できなかった場合は採血者を交代いたします。
◆下記に該当する患者さんはスタッフにお申し出ください。kensa-2
  • ・採血時に気分が悪くなられる方
  • ・消毒液、絆創膏、手袋にアレルギーをお持ちの方
  • ・血液透析中の方
  • ・乳房切除術を受けられた方
  • ・血液を固まりにくくするお薬を内服されている方
◆採血中、あるいは採血後に以下の症状がみられた場合はお申し出ください。
  • ・気分が悪くなったり冷や汗が出たりする場合
  • ・我慢できないような痛みや、手の指先にしびれを感じた場合
ひじの血管の近くには比較的太い神経が走っている場合があります。これらの神経を誤って刺さないよう最大限の注意を払っておりますが、神経と血管の位置関係には個人差が非常に大きいためごくまれにこれらの神経に針が触れてしまう場合があります。それにより強い痛みやしびれといった症状が出ることがありますが、大部分は特別な治療をしなくても数週間以内に治まります。
◆採血後の止血について
採血部位はもまずに5分間しっかり押さえてください。血液を固まりにくくするお薬を内服されている方はさらに長めに圧迫していただく必要があります。
採血をした腕で血圧測定をしたり、重いものを持つことは30分ほど避けてください。

◆採血に関してご希望、ご不明な点がある方は遠慮なくスタッフにお申し出ください。

生理検査室


臨床検査部

・臨床検査部  ・生化学・免疫検査  ・血液検査  ・一般検査
・細菌検査室  ・輸血管理室  ・中央採血室

生理検査室では患者さんに直接接し、色々な生体情報を波形や画像として記録し、病気の発見や予後判定に繋がる検査を行います。
信頼性の高い検査結果を出せるように日々技術の向上を目標に努力しています。

心電図検査

【安静時心電図検査】
心電図は心臓で起こる微弱な電気信号を心電計という装置で増幅させ、波形として記録したものです。不整脈、心肥大、虚血性心疾患などの診断や手術前や入院時の精査などでも行われます。
検査所要時間は準備の時間も含め約5分です。

【負荷心電図】
安静時の心電図では異常が見られない場合等に、心臓に負荷をかけ心電図変化の有無を記録します。
これには階段を昇降するマスター負荷試験、ベルトの上を歩くトレッドミル検査があります。検査所要時間は約15~30分です。

【レイトポテンシャル(LP)検査】
心室性不整脈(VT/VF)を引き起こす遅延電位(LP)を、体表面心電図上から検出し、危険な不整脈の予知、失神発作をおこす可能性について調べます。
また、更に詳しく電気生理学的検査が必要かどうかのスクリーニングテストとしても有用です。
検査所要時間:約10~15分です。

長時間記録心電図検査

【24時間ホルター心電図検査:(24時間記録可)】
日常生活(24時間)の中での心電図を記録し、不整脈の検出や自覚症状(動悸・胸痛等)時の心電図変化の有無を観察します。また抗不整脈薬服用時の効果判定も行われます。
検査所要時間:24時間、記録器装着の所要時間:約10分
注意事項

・記録装置の装着と取り外しのため2日続けて来院いただきます。
・行動の制限はありませんが、お風呂・シャワーはできません。
・行動の記録を書いていただきます。(薬・トイレ・食事・飲酒・タバコ・起床就寝など)
・翌日はシール電極などを除去しますので、装着した時間に来院してください。

【2週間ホルター心電図検査:(最大2週間記録可)】
24時間では捉えにくい発作性心房細動(PAF)検出などに有用な情報を得ることができます。入浴中を含めた日常生活の心電図波形が最大14日間にわたって連続記録が可能です。

【24時間血圧検査】
日常生活の中で24時間血圧を記録し、1日の中での血圧の変化や降圧剤の効果判断、高血圧の判定を行います。
注意事項

・血圧の測定は、日中は30分間隔、夜間は60分間隔に行います。
・記録装置の装着と取り外しのため2日続けて来院いただきます。
・行動の制限はありませんが、お風呂・シャワーはできません。
・行動の記録を書いていただきます。(薬・トイレ・食事・飲酒・タバコ・起床就寝など)

 呼吸機能検査

肺や気管支の病気の早期発見、診断に役立てるための検査です。
また、全身麻酔による手術時の呼吸管理のためのスクリーニングにも用いられます。
検査所要時間:10~30分
注意事項
呼吸機能検査は、検査を受ける側(患者側)の理解と努力が検査結果に大きく影響を及ぼします。したがって、健常者であっても方法によって異常値になってしまうこともありますので、技師の誘導に合わせる必要があります。

 

主な呼吸機能検査の種類(下記を組み合わせて行う)
・肺活量(SVC):最大吸入状態から最大呼出(最も大きく息を吐くこと)までの空気の量を測定し肺活量とします。
・努力性肺活量(FVC):最大吸気後、できるだけ速く息を吐き出し、最大呼出までに吐き出された空気の量などを測定します。厳密には一秒間に吐き出せる空気の量や吐き出すとき流速を計測します。
・残気量(FRC):最大呼出の状態でなお肺に残っている量を残気量といいこの量を計測します。
・肺拡散能(DLCO):気管の末端にある肺胞と肺の毛細血管の間のガス交換能力を調べます。

☆他に気管支喘息の診断に有用な気道可逆性試験や呼気NO検査等も行っています。

 脳波、神経誘発電位検査

【脳波検査】
脳波検査とは脳の生体電気信号を記録する検査です。
主にてんかんや意識障害などの診断に有用です。
頭に電極を装着し、安静な状態で検査をすすめていきます。
検査所要時間:30~50分です。

小児の場合は、お薬で眠った状態での検査になるケースが多いです。
注意事項
検査当日は整髪料は控えてください。
小児の場合は、時間にゆとりをもってお早めに来院願います。

神経伝導速度】
手や足の神経を電気刺激し興奮が伝わる速度や、伝わり方を波形として記録します。
多少のぴりっとした痛みを伴います。
主に手や足に力が入らない場合、しびれを感じる場合などに施行し、神経や筋肉に異常がないかを調べます。
検査所要時間:30~50分です。

【誘発電位検査】
SEP:手や足の神経を電気刺激し、電気刺激の脳までの伝わり方を調べます。
主に手や足に力が入らない、しびれるなどの症状の原因を探る為の検査です。
ABR:ヘッドホンから音を聞き、耳から脳までの音の伝わり方を調べます。
心因性難聴や聴覚神経系などに異常がないかを評価します。
VEP:光の点滅を見てもらい、脳までの伝わり方を調べます。

検査所要時間:60~120分です。
☆小児の場合は眠った状態で検査を行います。

超音波検査

超音波検査とは人の耳に聞こえない高い周波数の音波を体内に送り、その反射波を画像化して病気の発見・診断を行う検査です。
苦痛もほとんどなく、安全(妊娠中でも)に検査が可能です。
症状に応じて各科外来からの依頼によりいろいろな臓器の病変を見つけ出し、結石、腫瘍、脂肪肝、動脈硬化症などの生活習慣病の早期発見や病状の経過観察に大変有用です。検査部位によって、主に心臓超音波検査、腹部超音波検査、血管超音波検査に分けられます。

【腹部・体表その他超音波検査】
主に腹部および体表臓器の病気を発見します。
例:甲状腺種、脂肪肝、胆石、腎結石、膵炎、乳腺炎、子宮筋腫、前立腺炎など
注意事項
・検査所要時間は約15分です。(ただし、検査部位により異なります)
・検査の際は上半身裸になることもあります。上下に分かれた服装が望ましいです。
・食事をとらずに空腹の状態で検査をおこないます。
(食事をされた場合は、しばらくお待ちいただくこともあります。)
・検査部位(子宮、前立腺など)によっては膀胱に尿が溜まっていた方が都合がよい場合もあります。検査直前は可能な範囲内でトイレを控えてください。

【血管超音波検査】
主に頸動脈、鎖骨下動脈、下肢動静脈、腎動脈、腹部大動脈、透析に用いるシャント血流等の評価が可能です。
注意事項
・検査所要時間は20~40分程度です。(検査部位が多いほど長くかかります)
・食事の影響はほとんどありません。(但し、腎臓血管の検査は空腹が望ましいです)。

心臓超音波検査

【心臓超音波検査】
心臓の形や大きさ、心筋の厚さ、弁の動きや形態、血流の異常がないかを調べます。
心機能の評価をします。
心臓弁膜症、心筋梗塞などの診断、経過観察に用います。
注意事項
・検査所要時間は20~40分程度です。(検査部位が多いほど長くかかります)
・食事の影響はほとんどありません。(但し、腎臓血管の検査は空腹が望ましいです)

聴力検査

<当院で行っている検査種類>
1.純音聴力検査
聴力検査の中で最も基本的な検査です。
聞こえの程度と、どの部位の異常によるものかを判断します。
2.チンパノメトリー
 鼓膜や耳小骨の振動を調べる検査です。
3.レフレックス検査(耳小骨筋反射検査
 耳小骨筋を調べることにより顔面神経の障害がわかります。
4.語音聴力検査
 言葉の聞き取りの検査です。正解率を検査します。
5.内耳機能検査(SISIテスト、自記オージオ検査
 内耳障害の有無を調べます。

睡眠時無呼吸検査

※予約が必要です
・睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中にいびきがひどい方や肥満の方に多くみられ、本症が疑われる場合に行われる検査です。睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に無呼吸(呼吸が一時的に止まる)や低呼吸(呼吸が低下する)が起こることにより、血中酸素飽和度(血液中の酸素)が低下するなど様々な変化が体に生じます。そのために日中に眠気が強かったり、朝起きた時に熟睡感が得られなかったりします。この疾患は、生活習慣病(冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病や高血圧など)の危険因子となり、交通事故や労働災害の原因ともなります。

・検査は睡眠中の呼吸状態と血中酸素飽和度を調べる方法と、それに加えて睡眠中の脳波(睡眠の状態をみます)も記録する精密な検査方法があります。
・一晩病院に入院していただき検査します。
・何種類かのセンサーを体に装着して入眠します。
測定装置装着時間:30~60分程度です。

6分間歩行試験

在宅酸素療法を検討または施行している方が対象です。
運動耐容能力などの評価や治療方針の決定を行います。
6分間でどれだけ長く歩けるか、その距離と歩行中のSpO2とHRを記録します。

輸血管理室


臨床検査部

・臨床検査部  ・生化学・免疫検査  ・血液検査  ・一般検査
・細菌検査室  ・生理検査室  ・中央採血室

臨床検査部の一部として、臨床検査技師が輸血業務全般を担っています。当院は急性期病院であるため、救急搬送患者や緊急手術の輸血にも24時間体制で迅速に対応しています。
血液型検査や交差適合試験などの輸血関連検査と輸血用血液製剤の管理、適正輸血の推進、輸血副作用に対する迅速な対応など輸血に関連した業務全般を管理・運営して安全な輸血医療を実践しています。また、自己血輸血や造血幹細胞移植に伴う末梢血幹細胞保存などに関与しています。

輸血関連検査業務

・ABO血液型kensa-3

・RhD血液型

・不規則抗体検査

・交差適合試験

輸血用血液製剤の管理業務

・血液製剤の血液センターへの発注、納品kensa-4

・血液製剤の適正な温度での保管管理

・血液製剤の適正使用、副作用管理

 

 

 

輸血とは

kensa-5手術や、けが、病気などの大量出血により循環血液量が減少した場合や、自分の体内で血液を十分に作ることができなくなった時、必要な血液成分(赤血球・血小板・血漿)を体内に輸注することです。血液の不足による体の障害を防ぐ為に、補充することを目的としています。
輸血には、献血(他人の血液)より得られる血液成分(同種血)を輸血する同種血輸血と、自分の血液を輸血する自己血輸血があります。現在、日赤血による同種血輸血は非常に安全になりましたが、輸血副作用・合併症はゼロではありません。

自己血輸血

手術が予定されている患者さんを対象に、手術前に自分の血液をあらかじめ採血しておき、手術中・後に必要量を輸血します。
手術の数週間前から200~400ml/1回/1週間の採血を中央採血室にて採血し、輸血管理室にて使用時まで保管管理します。
自分が供血者である自己血は、副作用の少ない安全な輸血療法です。但し、手術を受けられる全ての患者さんに適用できるわけではなく、患者さんの状態によって異なりますので、医師との相談が必要です。

輸血副作用

輸血用血液製剤及びアルブミン、グロブリンなどの血漿分画製剤は、人の血液を原料としており(特定生物由来製品)、まれに免疫反応(蕁麻疹、アナフィラキシー反応、血圧低下、呼吸困難、発熱、GVHDなど)や感染症(B型肝炎、C型肝炎、AIDS、細菌など)を起こすことがあります。
しかし近年、核酸増幅検査(NAT)の導入によりB型、C型肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染率がかなり低下しています。また、GVHDの防止には放射線照射済み血液を使用しています。
輸血が原因で万一感染症を発症した場合は、「生物由来製品感染等被害救済制度」という法律があり、救済給付を受けることが可能です。その為、輸血3ヶ月後位に感染症検査を受けることも出来ます。

輸血関連検査

【血液型検査】

血液型は、赤血球上にある抗原によって多くの型に分けられます。そのなかでも輸血の時に最も大切なのは、ABOとRhDの2つの血液型です。

ABO血液型

ABO血液型は、赤血球膜表面上にあるA抗原、B抗原と血清中の坑A、坑Bにより4つの型に分けられます。抗原、抗体の有無(〇、×)により下表のように分類されます。

  A抗原 B抗原 坑A 坑B 日本人の頻度
 A型  〇 × × 約40%
 B型  × × 約20%
 O型  × × 約30%
 AB型  〇 × × 約10%

赤血球上のA・B抗原の有無を、凝集反応により行う検査をオモテ検査、血清中の坑A・坑Bの有無を凝集反応により行う検査をウラ検査といい、両方の検査の総合判定により血液型を判定します。

RhD血液型

Rh血液型には、C・c・D・E・eなどの抗原がありますが、通常輸血の際に一番重要なD抗原の検査をします。D抗原の有無により、有る場合はRhD陽性、無い場合はRhD陰性といいます。 日本人のRhD陰性の頻度は、約0.5%です。

【不規則抗体検査】

A型の人は抗B、B型の人は抗A、O型の人は抗A、抗Bをもっています。このように自分に無い赤血球抗原に対して、規則的に存在する抗体が「規則性抗体」です。これに対して、輸血や妊娠(出産)が原因でABO血液型のA及びB抗原以外の赤血球抗原に対して、不規則に産生される抗体が「不規則抗体」です。輸血前にこの抗体の有無を検査します。
抗体を保有している場合の輸血は、その抗体に対する抗原陽性血を輸血すると抗原抗体反応を起こし、凝集や溶血などの副作用を起こしますので、抗原陰性の血液を準備する必要があります。
輸血前に検査することは、安全な輸血や適合血確保に重要な意義をもっています。

【交差適合試験】

 輸血する血液と患者さんの血液を反応させ、凝集または溶血がおこらないかを検査します。検査目的として、ABO血液型の適合性再確認と臨床的に問題となる不規則抗体の有無を最終的に確認することにあります。

当院で使用されている輸血用血液製剤とアルブミン製剤

赤血球液
 kensa-6 遠心分離した血液から、血漿及び白血球層の大部分を取り除いた赤血球成分に、赤血球保存用添加液(MAP液)を加えたものが、「赤血球液」です。血液中の赤血球が不足した場合や、赤血球が機能しなくなった時に使われます。「赤血球液」「洗浄赤血球」「解凍赤血球」などの種類があり、患者さんの症状に応じて使い分けられています。現在はさらに白血球を少なくして発熱などの副作用を最小限に抑えるため保存前に白血球除去フィルターを通してあります。
濃厚血小板
 kensa-7 血液を比較的弱く遠心分離すると、上層に血小板を豊富に含んだ血漿が得られます。この部分をさらに遠心分離し血小板を沈殿させ、そこから血漿のほとんどを取り除いた濃度の高い血小板含有血漿が「濃厚血小板」です。血液中の血小板が減少した時や、血小板機能に異常がある時に使用し、出血を防止します。
新鮮凍結血漿
 kensa-8 血液を遠心分離すると、上層に血漿が分離します。この血漿部分だけを取り分け、ただちに凍結して保存されているものが「新鮮凍結血漿」です。血液中の凝固因子が減少した時に補充し出血を防ぎます。また、血漿中の有害物質を除去する血漿交換にも使用されます。
アルブミン
 kensa-9-1 血漿膠質浸透圧を維持することにより、循環血漿量を確保すること及び体腔内液や組織間液を血管内に移行させることによって、治療抵抗性の重度の浮腫を治療します。等張5%アルブミンと高張20%アルブミンがあります。

細菌検査室


臨床検査部

・臨床検査部  ・生化学・免疫検査  ・血液検査  ・一般検査
・輸血管理室  ・生理検査室  ・中央採血室

細菌検査室はヒトに対して感染症を引き起こす病原微生物について検査を行っています。微生物は一般的に細菌、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、真菌(カビ)、原虫などがあります。当院細菌検査室では、主に細菌、真菌を対象に検査を実施していますが、抗原検査や遺伝子検査などを用いてウイルス、マイコプラズマなどの検査も実施しています。
細菌については、どのような細菌が検査材料に存在するのか(同定検査)、感染症の原因となっている場合はどのような抗菌薬に効果があるのか(薬剤感受性試験)を調べています。
またチーム医療の一環として、感染制御チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動に積極的に参加し、よりよい医療の提供に努めています。

以下に簡単ではありますが、業務の内容を紹介します。

1.顕微鏡検査

細菌や真菌は通常目にはみえない大きさの微生物です。検査材料をスライドガラスに塗布し、染色することによって顕微鏡で観察することができます。
大きさを1000倍にして観察します。
ひとつの例として痰をグラム染色で染めた写真です。
肺炎の原因となる肺炎球菌です。

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別の染色方法を用いて、結核菌(抗酸菌)の有無についても検査を実施しています。kensa-16

2.培養検査

細菌や真菌を培地(寒天や液体)に発育させることにより、検査を実施します。培地の栄養や発育温度、酸素の有無など様々な条件の違いを利用しながら微生物を育てます。

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(いろいろな培地)

①同定検査
どのような種類の菌であるかを決定する検査です。提出された検査材料から感染症の原因となっている菌を検出します。
②薬剤感受性検査
感染症の原因となっている菌についてどのような抗生剤がどのくらいの量で効果があるかを調べます。

3.遺伝子検査

専用機材を用いてPCR法で結核菌の同定、COVID-19の検出を行っています。

4.チーム医療

①感染制御チーム(ICT)
院内で薬剤耐性菌が広がらないよう、環境整備、手技の確認などの活動をしています。また、検出菌の集計や抗菌薬の感受性率(アンチバイオグラム)の作成を行い、感染対策や感染症診療に役立てています。
②抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
感染症に対して適切な抗生剤を適切な用量で使用することによって、薬剤耐性菌の増加を抑えようとする取り組みです。当院においても、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師を中心として活動しています。血液から菌が検出された場合、疾患の影響で治療経過が思わしくない場合、特定の菌が検出された場合、長期にわたり抗菌薬が使用されている場合などの介入、対応をしています。

一般検査


臨床検査部

・臨床検査部  ・生化学・免疫検査  ・血液検査
・細菌検査室  ・輸血管理室  ・生理検査室  ・中央採血室

一般検査部門では、主に尿の検査をしています。そのほか便、髄液などの検査もおこなっています。

尿検査

尿検査では身体の健康状態を大まかに判断することができます。正常な尿では、蛋白や糖はほとんどみられません。

1.尿定性の検査
尿試験紙を用いて、下記の項目を化学的に検査します。
項目 結果の考え方
蛋白  腎臓の病気や尿路の病気の可能性がありますが、発熱している時や激しい運動後にも異常値が出ることがあります。
 糖尿病など。ただし、糖検査だけでは糖尿病と診断できないので、他の検査も必要となります。
ウロビリノーゲン  主に肝臓の機能を反映しています。
潜血反応 膀胱炎・腎臓・尿管の結石など。
ビリルビン  肝炎・肝硬変など肝臓の病気か、胆石症などが考えられます。
ケトン体

 糖尿病や下痢・嘔吐など胃腸の消化吸収のトラブルや熱がある時も異常値が出ます。

白血球反応  白血球は膀胱炎・尿道炎などの細菌感染症や尿路結石などの炎症で増加します。
2.尿沈査の検査
尿沈査は、尿に混じって出てくる血球や細胞、円柱、細菌などを顕微鏡で観察する検査です。腎臓や膀胱、尿路などの状態により出てくる成分に変化がみられます。kensa-18

便検査

1.便潜血検査
便のなかに血液が混ざっていないかどうかを調べる検査です。大腸ガンなどの消化管出血で陽性になります。
2.虫卵検査
回虫・ぎょう虫などの寄生虫卵の有無を調べます。

髄液検査

髄液とは脳脊髄を保護している液のことです。中枢神経系の疾患について、診断する場合や経過観察のために髄液検査が行われます。

穿刺液(胸水・腹水・関節液)

性質を調べることで、病気の診断の補助や治療経過を知ることができます。

尿素呼気試験

検査に用いるための薬を飲み、一定時間経過した後に、専用の袋に吐き出した息(呼気)を調べて、胃や十二指腸の炎症やがんの発生に関わっていると考えられている、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に感染しているかどうかを調べる検査です。

血液検査


臨床検査部

・臨床検査部  ・生化学・免疫検査  ・一般検査
・細菌検査室  ・輸血管理室  ・生理検査室  ・中央採血室

血液検査には血球成分の検査と凝固線溶の検査があります。

(1)血球成分の検査

1)自動血球計数装置による検査
装置を用いて以下の項目について測定します。

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項目 役割 
白血球数
(WBC)
病原微生物に対して体を防御する細胞です。
炎症性疾患や血液疾患の診断・経過観察に用いられます。
赤血球数
(RBC)
酸素や二酸化炭素を運搬する細胞です。 貧血や赤血球増加症の
診断に用いられます。
ヘモグロビン濃度
(HGB)
赤血球に含まれる血色素です。
酸素と結びつく性質を持ちます。
ヘマトクリット値
(HCT)
血液全体に含まれる赤血球の割合です。
血小板数
(PLT)
出血したときに血栓を作って血を止める細胞です。
出血傾向や血栓症、様々な血液疾患の診断に用いられます。
白血球分類 白血球を5種類(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)に分類します。
異常値や異常メッセージがでた場合は自動で標本が作製されます。

2)顕微鏡による検査
検査技師が顕微鏡で標本を観察し、白血病細胞などの異常細胞を認めた場合は直ちに医師に報告します。

kensa-113)骨髄検査
骨髄は骨の中心部にある造血組織で、白血球、赤血球、血小板の親の細胞はここで作られます。装置または顕微鏡検査で血球成分に異常を認めた場合、骨髄の細胞に異常がないかを確認するために医師による骨髄検査が行われることがあります。

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(2)凝固線溶の検査
凝固とは出血したときに血を止めること、線溶とは固まった血(血栓)を溶かすことです。kensa-13

1)出血時間
耳たぶに少しだけ傷をつけて、出てきた血液が止まる時間を測定します。血小板の働きを調べる検査です。

2)凝固検査
自動分析装置による検査です。血液に試薬を加えて、その血液が固まる時間を測定します。凝固因子による凝固能のスクリーニング、坑凝固療法のモニタリングのために以下の項目を測定します。

①プロトロンビン時間(PT)
②活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
③フィブリノゲン濃度(FIB)
④アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)…凝固しすぎるのを抑制する物質

3)線溶検査
自動分析装置による検査です。血栓症の診断のために、以下の項目を測定します。

①フィブリノゲン・フィブリン分解産物(FDP)
②Dダイマーk-14-2

 

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生化学・免疫検査


臨床検査部

・臨床検査部  ・血液検査  ・一般検査
・細菌検査室  ・輸血管理室  ・生理検査室  ・中央採血室

血液や尿等に含まれている成分を調べる検査です。血液の成分には蛋白質、糖、電解質、酵素、ホルモン等がありますが、これらの成分を調べることにより、どの臓器に異常が生じているかを間接的に調べることが出来ます。

測定法は病院や検査所によって様々で、また、年齢や性別、生活環境等で結果が違ってくる検査もあります。患者さんの生活状況や方法を正しく理解し、かつ、X線写真、心電図といった他の検査と照合して総合的に判断する時の判断材料の一つです。

1.蛋白

蛋白質は食物として消化、吸収され、体のいろいろな所で、必要な別の蛋白質として作りかえられます。蛋白質を調べることによって、栄養摂取や吸収の状態、蛋白質の合成能力、あるいは作りすぎはないか、尿や便に漏れ出ていないかなどがわかります。

総蛋白質(TP)
体にはたくさんの種類の蛋白質が存在しますが、蛋白質の総量を測ることで蛋白質の合成や使われ方に異常がないか見ます。
アルブミン(Alb)
腸の吸収力や肝臓での合成力が悪くなっていると少なくなります。また、比較的小さな蛋白なので、腎臓が悪くなると尿蛋白として漏れ出たり、下痢の時には便に出てしまう時もあります。
C 反応性蛋白(CRP)
炎症や組織の破壊が起こるとすぐに増える蛋白の一つです。回復とともに減少するので、炎症の指標になります。

2.非蛋白窒素

蛋白質以外の窒素化合物の総称です。いろいろな代謝の中間、あるいは最終産物でこれらを測定することにより、いろいろな代謝の状態や、排泄の状態を知ることが出来ます。

尿素窒素(UN)
体内でエネルギーとして使われた蛋白質の老廃物で、腎臓から排泄されます。腎機能が低下すると腎臓から排泄されず、血液中に溜まり高くなります。
クレアチニン(Cr)
筋肉や神経内で生成されほとんどが尿に排泄されます。腎障害の程度によって上昇し、甲状腺機能低下や高度の肝障害では低下します。
尿酸(UA)
食物や体内のプリン体より、肝臓、骨髄、筋肉などで生産され、尿中に排泄されます。排泄の低下、過剰生産により増加します。水に溶けにくく、関節内に沈着して通風結節を形成したりします。
ビリルビン(Bil)
赤血球が肝臓や、脾臓、骨髄などで壊されてできた胆汁色素の1つです。肝臓、胆道系の障害で排泄障害が起こると血中濃度が高くなります。血中濃度が高くなると皮膚が黄色くなる黄疸を呈します。

3.酵素

酵素は体の細胞内に存在し、体が正常に機能するように働いています。細胞が異常に増えたり、減ったり、壊れたりすると測定値が変動します。それぞれの臓器で存在する酵素は違うので、ダメージを受けた臓器を推測することが出来ます。

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)
肝臓、心臓や骨格筋に多く含まれる酵素で、肝臓病や心臓病の指標としてALTとともに測定されます。赤血球に多く含まれ、採血時に赤血球が破壊され溶血を起こすと高く測定されます。
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
肝臓に多く含まれる酵素で、肝臓や胆道の病気の有力な指標です。ASTとともに測定され、ASTよりも肝臓に特異的な指標です。
乳酸脱水素酵素(LD)
体内の全ての臓器に分布しており、細胞の変性や壊死を反映するため、スクリーニング検査(一次検査)として重要です。肝疾患、心疾患、筋肉疾患、血液疾患、肺疾患、悪性腫瘍などで増加します。また、赤血球に多く含まれ、採血時に赤血球が破壊され溶血を起こしてしまうと高く測定されます。
アルカリホスファターゼ(ALP)
肝臓、胆管、骨、腸管に多く含まれる酵素です。肝疾患、胆道疾患、骨疾患、甲状腺疾患などで高くなります。また、小児では高く、成人の3~4倍になり、妊娠後期にも高くなります。
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γGT)
肝・胆道系のスクリーニング検査として使われ、とくにアルコール性肝障害や常習飲酒者及び薬物性肝障害において上昇します。
アミラーゼ(AMY)
膵臓、唾液腺の細胞に多く含まれ、膵疾患のスクリーニング検査として測定されます。急性耳下腺炎などでも高値に測定されます。
クレアチン・ホスホキナーゼ(CK)
心筋や骨格筋などに多く含まれ、これらの病気の診断や治療効果、予後の具合を見るために重要です。激しい運動をした後は高値に測定されます。

4.電解質・無機質

電解質とは血中に含まれる無機(有機の反対)塩類でイオンの状態で存在します。陽イオンと陰イオンの2種類があります。イオンとは、たとえば食塩は水に溶かすと陽イオンのナトリウムイオンと陰イオンのクロールイオンに分かれます

ナトリウム(Na)
血清(血液の液体成分)中の陽イオンの90%を占め、体内の水の調節に重要な働きをします。体内でのナトリウムの濃度は尿量の調節によって一定に保たれます。腎疾患、下痢や嘔吐では低値に、脱水では高値になります。
カリウム(K)
細胞内に多く存在する陽イオンです。細胞内からの流出、腎臓の働きの程度により変動します。採血中に手に力を入れすぎたり、赤血球が破壊され溶血を起こすと高く測定される場合もあります。
クロール(Cl)
血清(血液の液体成分)中の陰イオンの大半を示しています、食塩として摂取され、尿中に排泄されます。通常、ナトリウムの値と平衡して変化しますが、食塩の摂取量にも影響されます。
鉄(Fe)
赤血球中のヘモグロビン合成に不可欠な成分です。貧血の診断、欠乏や過剰の代謝異常を知ることが出来ます。貧血で低値を示す場合は摂取の不足、吸収の不良などが考えられます。
カルシウム(Ca)
ほとんどが骨や歯に含まれています。血液中のカルシウムはわずか1%にすぎませんが生命維持にきわめて重要な働きがあります。各種の内分泌疾患、骨代謝新患で異常を示します。

5.脂質

生体内に存在する水に溶けない有機化合物です。生体内における役割は多様で、炭水化物、蛋白質と並んで生体に不可欠な成分です。

総コレステロール(TC)
細胞膜の構成成分で、ステロイドホルモンを作る材料でもあります。しかし、多すぎると動脈硬化症などの生活習慣病の原因となります。妊娠中は増加し、ヘビースモーカーや大酒家は低下します。
中性脂肪(TG)
食事として摂取された脂肪は皮下脂肪として蓄えられますが、その大部分は中性脂肪です。多くなりすぎると動脈硬化性疾患の原因となります。食事により上昇しますので、空腹時に検査します。
HDL-コレステロール(HDL-C)
動脈硬化を防ぐことから善玉コレステロールといわれています。病気を診断するものではなく、動脈硬化症の危険因子の有無を調べる検査です。
LDL-コレステロール(LDL-C)
動脈硬化症の直接的な危険因子と考えてられており、悪玉コレステロールといわれています。

6.糖質・代謝

体内の細胞はエネルギー源として、主に血液によって運ばれてくるブドウ糖を利用しています。糖質及びその代謝障害を引き起こす代表的な疾患は糖尿病です。

血糖(Glu)
血糖とは血液中のブドウ糖のことです。ブドウ糖は全身でエネルギーとして最も利用されやすい栄養素ですから、食事や運動によって値は変化します。インスリン(ホルモン)の量の不足や、作用が弱くなると血糖値は上昇し、糖尿病となります。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)
赤血球中にあるヘモグロビンがブドウ糖と結合したものをヘモグロビン・エー・ワン・シーと言います。血液中のブドウ糖が増加すればするほど高値になります。比較的長期の血糖コントロールの指標として利用されます。

7.その他

ホルモン検査、ウイルスや細菌に感染した時に体内で作られる抗体、がんが出来た時に血液中などに増える腫瘍マーカーなど、多くの検査があります。

ホルモン
ホルモンが正しく分泌され機能しているか調べる検査です。当院でよく検査される甲状腺ホルモンとしては遊離サイロキシン(F-T4)、遊離トリヨードサイロニン(F-T3)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)があります。また、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンは糖尿病や低血糖の時に検査されます。
感染症検査
梅毒、または、肝炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)などの原因となるウイルスに感染しているか、あるいは過去に感染したことがあるかを調べることができます。(HBs抗原、HCV抗体など)
腫瘍マーカー
体の中にがんが出来ると、血液や尿の中に増える物質があります。これらの物質を腫瘍マーカーといい、血液にどの程度存在するかを調べることによって、がんの可能性を探ることが出来ます。

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