講演会「禁煙環境の普及をめざして」

内科 堀 彰宏
昨今禁煙に対する関心が高まってきていますが、何故禁煙なのでしょうか?その疑問に対する答えとして、国内の調査の結果をお示しします。
厚生労働省研究班調査により、喫煙者と非喫煙者における余命の差を評価した研究が発表されています。ある研究では、男性14 万人、女性15万人のデータを用いて分析した結果、40歳の時点でたばこを吸っている者は、男性で約5年、女性で約4年、吸っていない者に比べて余命が短いことが分かりました(平成18年度厚生労働省研究班・小笹らによる)。
もう一つの研究では、1980年から約2000人を約20年追跡した結果、40歳時点の平均余命は、たばこを吸っている男性では、38.6歳、吸わない男 性では42.1歳と、3.5年短いことが明らかになりました(平成18年度厚生労働省研究班・村上らによる)。
このように、喫煙により余命が短くなることが、海外だけでなく、日本国内の複数の調査からも明らかになっているところです。(最新タバコ情報の記事から引用。 http://www.health-net.or.jp/tobacco/menu03.html)
タバコを吸うと様々な癌になりやすく、癌以外の疾病を増悪させることも次第に判明してきており、余命短縮の裏付けとなっています。
以上からタバコは吸わないに越したことはないと結論します。最近になって禁煙補助薬にも進歩がみられており、当院でも禁煙外来を実施しています。二度とタバコを口にしない、卒煙を目指す気持ちを大事にがんばっていただければと存じます。
当院では毎週火曜日午後に医療保険を用いた禁煙外来を設けております。まずは連絡頂ければと思います。
(09.10.23 於:厚生連高岡病院)