乳腺の超音波検査

放射線科 高田治美
(医局研究会H21.6.16)
いま、日本女性が最もかかりやすい癌が乳癌です。大腸癌、胃癌などの他の癌と比べた乳癌の特徴として、若年者の発症が多く、乳癌で死亡した患者の約半数が30代~50代であることが挙げられます。ただし、早期(2cm以下の腫瘤でリンパ節転移がない)でみつかった場合での10年生存率は90%であり、早期発見であれば治癒も可能であり、決して怖い病期ではありません。早期発見のための検診が大切です。
乳腺疾患のスクリーニングとしては視触診、マンモグラフィー、超音波検査が行われます。ほとんどの乳癌はこれらの検査で発見されます。乳癌が強く疑われる場合には吸引細胞診や針生検による組織診が行われ、確定診断が可能です。
乳腺超音波検査は被ばくがなく、とくに乳腺組織の豊富な若年者でも腫瘤検出が可能といった長所があります。腫瘤の形態学的な特徴を知ることができ、嚢胞や線維腺腫といった良性疾患、乳癌などの悪性疾患の鑑別に有用です。ただし、石灰化はマンモグラフィーほど描出できないという短所もあるので、総合的に判断する必要があります。
当院外科では月曜と木曜の週2回、「女性外来」を開設しており、女性医師(尾山医師)が診察しています。マンモグラフィーは資格を持った女性放射線技師が、超音波検査は私が担当しています。スタッフも女性なので、恥ずかしがらずに受診してください。