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見落としていませんか? 急性緑内障発作
                             
(医局研究会 2009.9
.16)

                                眼科 森田 恒史

 

 急性緑内障発作は眼科領域での緊急疾患で、対処が遅れると重篤な視力障害を来たし、場合によっては失明にも至る病気です。医師国家試験にも必ず出題されるこの疾患について本日は今一度考え、以下の問題について理解を深めましょう。

【問題】
1、検査前の問診で緑内障の既往がなかったので、急性緑内障発作を起こす心配はない。
2、緑内障の既往がある患者に散瞳剤(抗コリン剤)は禁忌である。
3、急性緑内障発作の患者は、まず眼科を受診する。

 ではまず、緑内障とはどんな病気なのか?日本緑内障学会が出版している緑内障診療ガイドライン第2版には、「緑内障は視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である。」と記載してあります。つまり緑内障とは視神経の障害を来たす疾患(緑内障視神経症(glaucomatic optic neuropathy GON)なのです。
 緑内障は原因別に、原発緑内障、続発緑内障、発達緑内障に分類され、さらに原発緑内障は隅角の形態から原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障に分けられます。多治見スタディーにおいて緑内障患者の78%が原発開放隅角緑内障、12%が原発閉塞隅角緑内障、10%が続発緑内障であったと報告されています。この中で急性緑内障発作を起こす緑内障は原発閉塞隅角緑内障ですが、では急性緑内障発作を起こす患者全てが原発閉塞隅角緑内障でしょうか?答えは「No!」です。急性緑内障発作を起こす患者のなかには視神経障害がなくても隅角が閉塞し得る原発閉塞隅角症という疾患があります。この疾患は、何らかの原因により隅角閉塞を生じ、ある日突然急性緑内障発作を起こすことになります。つまり「緑内障の既往はありますか?」という質問の答えが「いいえ」であっても急性緑内障発作は起こりうることになり、逆に「はい」と答えた患者の約8割は開放隅角緑内障であり急性緑内障発作は起こさないことになります。
 緑内障発作を起こしやすい人には、中高年の女性、遠視眼、風邪薬や睡眠薬の服用者、日中に消化管内視鏡検査を受けた人、日中に眼底検査を受けた人などが挙げられます。
 緑内障発作を起こしにくい人には、若年者、近視眼、白内障手術既往眼などが挙げられます。
 とにかく、起こった発作を早期に発見し、早期に治療することが肝要であると思われます。
 急性緑内障発作の症状は、自覚症状としては前頭部痛、悪心・嘔吐、眼痛、視力低下などがあり、他覚所見として、対光反射の消失、中等度散瞳、瞳孔不同、充血、眼圧上昇などがあります。一見、風邪やくも膜下出血などと見誤れることも少なくなく、内科や脳外科を受診するケースも多くあります。
 急性緑内障発作の治療は、まず高浸透圧利尿剤や炭酸脱水酵素阻害剤などで眼圧を下降させ、縮瞳剤を点眼し瞳孔ブロックを解除することです。その後、根治目的で白内障手術を行います。白内障手術により水晶体を摘出し眼内レンズを挿入することで水晶体体積が減少し、隅角の開大が得られます。
 急性緑内障発作を疑ったら(頭が痛いという患者をみたら)まず懐中電灯やペンライトで患者の瞳を照らして、瞳がキュッと縮むがどうか診て下さい。

【解答】
1、緑内障の既往がなくても急性緑内障発作を起こす可能性は十分にある。
2、開放隅角緑内障であれば問題なし。隅角閉塞がある場合は要注意!
3、頭痛、悪心・嘔吐などの症状で他科を受診する場合も多い。

以上、御理解いただけたでしょうか。