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北陸診療情報管理研究会 開催報告       
                                     
(H21/12/10)
 

 第32回北陸診療情報管理研究会・第15回診療情報管理実務研修会が11月14日(土)に開催されました。本研究会では診療情報管理士を中心として、医師、看護師、コメディカル、事務員、医療情報部、システムエンジニアの方々が参加し、診療録(カルテ)、病名のコード化業務(ICD10)、がん登録、DPC請求等についての管理や改善について討議されます。今回は当院が主催病院となり、高岡市生涯学習センター(ウイングウイング)にて開催されました。今回のメインテーマは『電子カルテの導入・更新』でした。

     


 午前の部では第15回診療情報管理実務研修会として、当院の血液内科 経田克則先生から「血液のがん」と題して御講演を頂きました。白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などについて、疾患ごとに進行ステージ別に治療法が異なることをわかりやすく説明して頂きました。がん登録、DPC請求業務を行う上で、非常に貴重な講演でした。
 午後の部、第32回北陸診療情報管理研究会では特別講演として、「電子カルテ導入・更新に伴う諸問題」と題して東芝住電情報システムズ㈱の谷沢洋一氏に御講演を賜りました。前半では電子カルテ導入に関するメリット(院内情報共有化、データを1つに集約化、カルテ庫が不要etc)、導入作業(病院、開発ベンダ)の流れ、既存紙カルテ(紙カルテ、文書等)の扱いの検討、他に導入に伴い院内運用が変わることがあることを説明されました。後半では電子カルテ更新に関するお話があり、大きな問題としてデータ移行時間中は電子カルテが使用できないことが指摘されました。開発ベンダーとしては更新に要する時間は0時間を目指しているが現在は不可能であるとの説明でした。ちなみに、当院で電子カルテ更新に要する時間は想定48時間程度(by富士通)が見込まれています。
 次にシンポジウムが開催されました。テーマは「電子カルテ導入・更新に向けての対策」で富山、石川、福井県から代表4名のシンポジストの発表がありました。
 まずA病院からは紙カルテから電子カルテ移行に伴う御苦労が報告されました。電子カルテ移行に関わる専従職員がわずか1名であり、ベンダー側主導で検討グループが編成されたが、必要事項を決定していく過程で有効な提案や助言が乏しく、また検討グループの情報が他のグループに十分伝わらず混乱が見られた。ベンダー側だけでなく病院側も複数の専従職員を配置して開発全体を管理することが可能であったら運用面でも混乱も少しは避けられたのではないかと反省点を述べられた。
 B病院からは「電子カルテ停止時に備えたシミュレーションで電カル移行に対応」と題して、電子カルテ更新中の2日半の間、二次救急日の対応を中心に、複写式の救急部短期カルテ、受診の際の患者登録一覧の代用救急部日報、検査依頼伝票など日頃使用しない紙ベース類の使用、これら紙伝票の取扱い、紙伝票を初めて記入する医師の対応等々を説明されました。当院においても近年中に予定されていることであり、その時間帯をどのようにするかが課題になります。
 次に、C病院より「電子カルテシステムの更新について」と題して報告がありました。 C病院では2008年10月に電子カルテの更新を行ったが、5年毎の全面更新にはあまりにも多額費用や、医師・看護師に負担を強いることになるため、ベンダー側と協議の上電子カルテのプログラム更新は極力行わずにハードのみの更新を行った。昨今の厳しい医療情勢から考えると医療側もベンダー側に逆提案をするスキルを持つことが重要であると話されました。
 D病院より、「みなし一病院を目指しての電子カルテの統合」と題し、市町村合併後の市内医療機関をみなし一病院として運営を図るため電子カルテの統合を行った経緯について話されました。診療情報システムの統合・一元管理の利点は、①情報共有による診療の質や安全性の向上、②重複検査の減少、③患者ID統一や共通診察券による利便性向上、④一元管理による管理コスト低減化、⑤バックアップサーバ持合いによる災害対策であると報告されました。これは全国的にも珍しいケースだと思います。
最後のディスカッションでは、座長からの「電子カルテ更新が必要となる期間は何年でしょうか?」と質問に対して、シンポジストからは「おおむね5年」と回答された。座長より「当院の電子カルテ更新には、およそ10億円が見込まれる。この金額を5年で償却することになるが、全国を見渡しても余力のある(5年で償却できるような)病院は数少ないのではないでしょうか。経営的にも新たな医療崩壊の懸念がある」との発言がありました。「日時未定の異常時指示の運用はいかがですか?」との質問に対しては、当院と同じ運用(予め生活異常時指示オーダ)を行っている病院が多く、医療現場と電子カルテシステムのバランスを考えた結果、このような運用になったと考えられました。
 当日は天候が不順にも関わらず、148名(富山76名、石川49名、福井22名、北陸以外1名)の参加がありました。当院では電子カルテを導入して6年目を迎えていて、更新が必要な時期となっています。タイムリーで有意義な研究会を開催できたことを関係各位の皆様方に御礼申し上げます。