診療科・専門部・部門 放射線治療科

放射線治療科について

概要

日本では、現在2人に1人が癌に罹患し、3人に1人は癌で亡くなっており、癌の治療成績をどう向上させるかは日本の医療において現在重要な課題です。癌の治療法としては手術や抗がん剤治療と並んで放射線治療が主体ですが、現在の日本では、超高齢化社会を迎えた中での癌患者の増加という他の国では見られない癌罹患の特徴があり、身体に優しい放射線治療は癌治療として重要な役割を担うようになっています。また、国の政策としてもがん対策基本法において放射線治療の重要性が強調されています。当院においても、放射線治療を受けられる患者さんは着実に増加しています。

当科における放射線治療計画患者数

診療内容

当院では平成26年4月に放射線治療科が新設され、診療科としての放射線治療が提供出来るようになりました。また、平成26年11月より新たにElekta Synergyという放射線治療機器(リニアック)と、Monaco5という放射線治療計画装置が導入され、最新の放射線治療設備により、高精度な放射線治療を開始しました。

当院の放射線治療機器(Elekta Synergy)

当科では、頭頸部癌、肺癌、肝癌、乳癌(乳房温存手術後及び乳房切除術後の放射線治療)、前立腺癌などに対する放射線治療、また、骨転移に対する疼痛緩和目的の治療などを行っています。中でも、肺癌や肝癌では呼吸性移動などに伴う腫瘍の動きがあります。これに対して、専用の装置を使用し呼吸をコントロールすることで、腫瘍の動きを出来る限り減らし目的の腫瘍にのみ放射線が照射されるような治療を行っています。さらに、新たに導入されたリニアックは、強度変調放射線治療(IMRT)にも対応しており、前立腺癌の治療では、前立腺の周囲に近接している直腸や膀胱への余分な照射を減らし、前立腺に対して線量を集中させることが可能となっております。

前立腺癌に対する放射線治療線量分布図

放射線治療というと日本ではややマイナスのイメージがありますが、その特徴はまさしく身体に優しく、ご高齢の患者さんでも問題なく施行できる治療であり、またその技術の著明な進歩により癌を治せる治療になっています。当院においても専門医による最先端の放射線治療を提供していることをご承知頂ければと思います。

主な疾患

がん温熱療法(ハイパーサーミア)

当院では、令和元年10月より高周波式ハイパーサーミア治療システムの『アスクーフ8』を導入しました。
このシステムは、高周波(ラジオ波)によって体内の内部を加温し、がん組織を壊死・縮小させるものです。

原理と特長

がん細胞は熱に弱く、42.5℃以上になると死滅します。正常な組織は温められても血管が拡張することにより熱を放散して体温の上昇を抑えますが、がん組織は血管の収縮が弱く拡張することができないため、熱を放散することが出来なくなり、がん細胞だけが温められ死滅します。

1.体に優しい治療

副作用が少なく、複数回施行でき、外来での治療が可能です。
正常細胞の免疫が活性化し、痛みの緩和や体力の回復などQOL(生活の質)が向上します。

2.適応範囲が広い

脳と眼以外のほとんどの部位・がん種、病巣の深さに適応できます。

3.他治療との併用

化学療法や放射線療法、手術、免疫療法との併用で、それぞれの治療効果の増強が得られます。

  • 治療時間:45〜60分 ※治療部位や病態により変わります。
  • 治療サイクル:1クール8回(週1回で2ヶ月)
  • 完全予約制

高気圧酸素治療

当院の高気圧酸素治療は平成10年から開始され、豊富な経験を有しています。平成31年4月からは放射線治療科が担当することになり、装置もSECHRIST 3300HJへと更新されました。

癌細胞は低酸素環境になると、放射線治療や化学療法に抵抗性を示すことがあり、高気圧酸素治療を併用することで、癌の縮小効果を高めることが期待できます。上記のハイーアーサミアと併用することもあります。当院では放射線治療室と高気圧酸素治療室が緊密に連携を取ることで、高気圧酸素治療終了後30分以内の放射線治療を実現しています。 高気圧酸素治療は突発性難聴や末梢循環障害、一酸化炭素中毒など、放射線治療を併用する癌以外にも様々な疾患に適応があり、これらの患者さんに対する高気圧酸素治療も引き続き行っております。

なお、一部のご病気(自然気胸など)の既往がある患者さんはこの治療を受けられないことがあります。また、治療中の装置内は高気圧・高酸素濃度環境となり、通常の環境では発火しないものが発火し、火災・爆発事故につながるおそれがあります。持ち込み禁止の物品については高気圧酸素治療室の職員からご説明いたします。

  • 治療時間:90分
  • 治療回数:放射線治療を併用する患者さんは放射線治療の回数に準じます。その他の疾患の患者さんは担当医が決定します。
  • 完全予約制

髙仲 強

(たかなか つよし)

役職

診療部長
総合的がん診療センター長

資格

日本医学放射線学会放射線治療専門医
日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医
日本医学放射線学会研修指導医
日本医学放射線腫瘍学会代議員
Best Doctors 2022-2023
ドクターオブドクターズネットワーク®
優秀専門臨床医™ 2019-2022

石山みず穂

(いしやま みずほ)

役職

医長

資格

日本放射線腫瘍学会・日本医学放射線学会 放射線治療専門医

午前 受付時間 8:30~11:30

1診 髙仲 強 髙仲 強 髙仲 強 髙仲 強
2診 石山みず穂 石山みず穂 石山みず穂 石山みず穂 石山みず穂
  • 初めて受診される方へ

  • 医療関係者の方へ